腐食に老朽化…下水道管巡る課題、維持管理を民営化も 20年後には4割が耐用年数超え
産経ニュース / 2025年1月31日 7時0分
道路の陥没は全国で多発し、その1割超は下水道設備が原因とされる。自治体は耐用年数が過ぎた下水道管の更新作業に追われるが、多額のコストがネックとなり、十分には進んでいない。国土交通省は、埼玉の現場と同様に大規模下水処理場に接続する大型下水道管を管理する大阪、兵庫、奈良など7都府県に緊急点検を要請している。
埼玉の陥没を巡っては下水道管を流れる排泄(はいせつ)物などから生成される硫化水素が空気に触れて硫酸になり、管のコンクリートを徐々に腐食、破損部分に土砂が流れ込んだとみられる。ただ、令和3年度の定期検査では、ただちに修繕する必要がないと判断されていた。
国交省によると、4年度の道路陥没の発生件数は全国で約1万件。このうち都市部が約2700件を占めており、下水道設備が原因となる割合は都市部になるほど増える傾向にある。
下水道整備は高度経済成長期に本格化した。コンクリート製の下水道管の標準的な耐用年数は50年で、早期に事業に着手した都市部ほど老朽化が進んでいる。
平成21年2月には大阪市中央区の中央大通の交差点で直径約1メートル、深さ約1・3メートルにわたり道路が陥没。昭和29年に敷設された下水道管が破損し、漏れ出た水が周辺の土壌を浸食したことが原因だった。破損した管は敷設以降、定期点検の対象になっていなかったという。
令和4年度末時点で全国の下水道管の総延長は約49万キロ。耐用年数を超過しているのは全体の約7%だが、20年後にはこの比率が40%にまで急増すると見込まれている。
ただ、下水道管の維持管理には莫大(ばくだい)な費用がかかる。人口減少に伴い使用料収入の増加も期待できないため、短期間で更新するのは困難だ。
大阪市では下水道管を市が保有したまま、維持管理業務を市が100%出資した民間会社に委託する運用をとっている。
同市内で総延長約5千キロに及ぶ下水道管について年間55キロずつ更新作業も実施。市の担当者は「下水道管内で排泄物が堆積しないよう管の交換時には勾配を付けたり、耐用年数にとらわれず、カメラをつかった点検をしたりしてリスクを取り除きたい」と話す。
検査精度を上げるため近年はAI(人工知能)を使い、老朽化の程度を調査する自治体もあるという。(鈴木文也)
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