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木造住宅密集、臨時情報対応…「防災の日」に専門家が指摘する教訓とは? 能登地震8カ月

産経ニュース / 2024年8月31日 20時19分

「防災の日」にあたる1日、能登半島地震は発生から8カ月となる。8月には宮崎県沖での地震を機に南海トラフ地震臨時情報が初めて発表され、防災への関心は普段以上に高まっている。それぞれに詳しい専門家は、近い将来の発生が懸念される首都直下地震や南海トラフ地震などを念頭に置いた上で、今後に向けた教訓を指摘する。

能登半島地震では、震源に近い石川県輪島市で大規模な市街地火災が発生した。現地調査を行った東京大の廣井悠教授(都市防災学)は、木造住宅密集地域における対策の重要性を挙げる。

火災が起きた市街地は、1ヘクタールあたりの建造物が50棟程度だった。東京や大阪などの大都市では、より密集している地域もある。そのため危険な木造密集地域の対策を進めるとともに、地域消防活動の推進を住民だけに任せず、行政が支援すべきだとする。

能登半島地震では津波による火災も起きた。南海トラフ地震のような津波を伴う地震の対策では、出火しやすい危険物の流出を防ぐ必要もある。

さらに廣井氏によると、石川県珠洲市では地震発生後の在宅避難中に火災が発生した。人口が多い大都市では、発災時に避難所不足などから在宅避難が推奨されることもある。避難生活での火災対策も考慮すべきだと廣井氏は指摘する。

一方、南海トラフ地震の臨時情報について、制度づくりに関わった名古屋大の福和伸夫名誉教授(地震工学)は「初の発表で、ほとんど認知されていなかったことを踏まえると、全体的には冷静な対応だった」と話す。

ただ、各自治体の対応には差があった。今回の事例を機に、ガイドラインの見直しなどを進める必要があるとする。

臨時情報に解除はなく、「巨大地震注意」での呼び掛け期間が終了後も南海トラフ地震が起きるリスクは変わらない。福和氏は「臨時情報に頼りすぎず、備えを進めてほしい」と呼びかける。

その上で、南海トラフのプレート(岩盤)境界でマグニチュード8・0以上の地震が発生して「巨大地震警戒」の臨時情報が発表された場合も含め、防災の在り方について本腰を入れて考える「スタートラインに立った」と福和氏は強調する。

日本の地震は3タイプ

日本国内で起きる地震は、主に海溝型と内陸と海域の活断層で起きる計3タイプに分けられる。

海溝型は、日本列島が乗る陸側プレート(岩盤)と、その下に沈み込む太平洋およびフィリピン海プレートとの境界がずれ動くなどして起きる。

関東大震災や東日本大震災、想定される南海トラフ地震などが代表例で、津波や長周期地震動にも注意が必要だ。発生間隔は数十年から数百年とされる。

活断層による地震は陸側プレート内の断層がずれ動いて起き、断層がある場所で内陸と海域に分けられる。

内陸で起きた場合は揺れによる被害が特に目立ち、阪神大震災や熊本地震などが知られる。一方、海域の活断層は日本海に多く、揺れに加えて津波への備えも欠かせない。能登半島地震をはじめ、日本海中部地震、北海道南西沖地震などの事例がある。

いずれも発生間隔は1千年から1万年以上と長いが、海域では内陸よりも断層調査が難しく、発生確率を示しにくい。

なお、首都直下地震については政府が活断層や海溝型など複数の発生パターンを想定している。

(黒田悠希、小野晋史)

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