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半年不明の弟「早く出てこいよ」土砂崩れ現場で発見祈る兄 輪島で3カ月半ぶりに捜索再開

産経ニュース / 2024年6月30日 12時0分

垣地英次さんの捜索が再開した土砂崩れ現場=石川県輪島市

元日の能登半島地震で大規模な土砂崩れが発生した石川県輪島市市ノ瀬町では、瓦職人の垣地英次(かきちひでつぐ)さん(56)の行方が分からないままだ。二次災害を警戒して捜索は一時中断していたが、3カ月半ぶりに6月24日から再開。兄の弘明さん(59)は連日、現場に足を運ぶ。地震から7月1日で半年。「今日こそは」と弟との再会を願う。

家は100メートル流され

山沿いの実家に一人で暮らしていた英次さん。地震による土砂崩れで家は約100メートル先まで流された。以降、警察や消防による捜索活動が続いたが、手がかりはなかった。二次災害の恐れもあり、捜索は3月5日以降、中断していた。

金沢市の自宅を離れ、捜索を近くで見守ってきた弘明さん。早く見つけ出したい思いは強かったが、現場の危険性も十分に理解していた。「優しい英次なら、こんな危険な状況で捜してほしいとは思わないだろう」と捜索中断を受け入れた。

英次さんは実家で農業を手伝いながら高齢の母を世話してきた。母が病気になると就寝時も隣にいるほど気にかけていたという。母は昨年亡くなったが、弘明さんは「心配して夜も深くは寝られなかったんだろう。実家に帰ると、英次はよく昼寝をしていた」と振り返る。

中断の期間、現場では土砂の撤去といった安全確保のための作業が続いた。弘明さんは「待つしかない」と分かっていながらも心が落ち着かず、週末になると工事の様子を見るため金沢から足を運び続けた。

「待つことしかできない」

6月半ば、警察から捜索再開の連絡を受けた。うれしい半面、まだ捜索が再開していない他の不明者の家族を思うと、申し訳ない気がした。それでも再開前日から現場近くの公民館に身を寄せ、再開初日の朝から石川県警の機動隊員ら約40人が重機で土砂を掘り出す様子を見守った。

大規模な土砂崩れで捜索範囲が広く、山のふもと側から少しずつ捜していくしかない。「見つかるまで自分は待つことしかできない。せめて、何か手掛かりがあればすぐに駆け付けられるように」と公民館で寝泊まりを続け、朝と夕方には捜索の報告を受けている。

地震から半年。英次さんの姿を思い返すことが増えた。「やんちゃもせず、長男(の弘明さん)がやるべき実家のことも、(英次さんは)嫌な顔もせず引き受けてくれた」。弟への感謝の思いは募るばかりだ。

近所の人たちも捜索再開後、英次さんを案じ、「早く見つかってほしいね」などと声をかけてくれるという。

「英次、みんな心配している。早く出てこいよ」(堀口明里)

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