被災家屋の古材を復興の力に、再利用で家具にリメークも 輪島でプロジェクト進む
産経ニュース / 2024年9月18日 10時40分
元日に発生した能登半島地震で被災した家屋の古材を再利用しようという取り組みが、石川県輪島市で進んでいる。解体される家屋などから建具や床材などを回収し、新しい家具などにリメークしたり、家主に戻すなどして再利用したりする仕組みを構築する計画で、同県志賀町に拠点を整備中。今月末には東京でも展示会を開き、能登の古材の魅力を広く発信したい考えだ。
輪島市三井(みい)町を拠点に被災者が立ち上げ、半年で延べ1500人以上のボランティアを受け入れて派遣するなどしてきた「のと復耕ラボ」が始めた「古材レスキュープロジェクト」。すでに複数の依頼に対応しており、現在は木曜に「レスキュー」、金曜に「クリーニング」と定めて活動している。
能登半島地震で被害を受けた住宅は石川県内で8万棟超。県は今月9日時点でうち3万2千棟以上が解体見込みだと公表したが、解体に着手しているのはその約3分の1の1万1540棟、完了したのは11・4%の3688棟だ。
解体が進まない背景として業者の人手不足が指摘されるが、被災者には複雑な思いもある。被害が大きかった珠洲(すず)市の女性(55)は、「それしか選択がないと分かってはいても、『解体』という決断は重い」と明かす。倒壊して片付けに入ることもできない建物があるが、公費解体の申請書類は手つかずのまま。どうしようもないと分かってはいても、「解体されてしまうのは悲しい」「せめて柱1本でも、次の家に持って行けたら」-。そんな被災者の声から、レスキュープロジェクトは始まった。
旧加賀藩が城郭建築や普請の用材確保を目的に木材保護政策「七木(しちぼく)の制」を進めた能登。ラボの拠点がある三井地区は、昭和初期には600軒を超える茅葺(かやぶ)き家屋が密集していたといい、立派な栗の木の梁(はり)や、漆塗りの床材など独特の特徴を残す古民家も多い。ラボ代表の山本亮さん(37)は「もうないだろうなと思う古材が本当にたくさんある。単に解体、廃棄するのではなく、生かす仕組みを震災を機に構築、発信できれば」と力を込める。
今月上旬には、長野県諏訪市で建築資材のリサイクルショップを営む「リビルディングセンタージャパン」を視察。その中でつくづく分かったのは、古材リサイクルにかかる手間の多さだった。だが「『ラボ』として、誰もやらなかったことに挑戦したい。取り組む中で道筋を見つけたい」と山本さんは言う。
22日には、志賀町に整備中の拠点で開くプレオープンイベントで、レスキューした古材をお披露目。月末には東京でも展示する計画だ。ラボでは同プロジェクトを含め、ボランティアを広く募集し、今後も能登の古材の魅力を広く発信していく計画だ。
応募や問い合わせは、ラボのフェイスブックなどから。(木村さやか)
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