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災害に強い小規模な「分散型」水道、全国導入へ 長期断水の石川・珠洲で政府が先行調査

産経ニュース / 2025年1月23日 20時43分

能登半島地震で断水した石川県珠洲市馬緤地区で利用された地下水=2024年12月28日(市岡豊大撮影)

令和6年1月の能登半島地震で水道の復旧が遅れた石川県内の被災地で、政府が湧水を活用した「分散型水道システム」の実現可能性調査に乗り出していたことが23日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。政府は別途、被災6市町での実証事業を募集しており、被災地の本格復旧と合わせ、災害に強い分散型水道を山間部など全国へ広げる方針。

政府が調査を行ったのは石川県珠洲市馬緤地区。能登半島地震では各地で老朽化した配管が損傷した上、家屋倒壊で地下配管の修復に手間取るなどしたため、断水がほぼ解消するまで約5カ月かかった。さらに、昨年9月の豪雨で浄水場が土砂崩れで埋まるなどし、断水が再発していた。

約5キロ離れた浄水場から77世帯が送水を受ける馬緤地区では、地震と豪雨で2度断水したが、生活用水に地区内に湧く地下水を利用した。住民は市に対し、可搬式の浄水機器を設置し、地下水を小規模水道として活用する対策を求めている。

能登半島地震への対応を検証した有識者会議の報告書は、水道設備の強靱化について「災害に強く持続可能な将来にふさわしい整備を行うべき」として分散型を提言。政府は馬緤地区での調査結果を分析し、年度内をめどに同市と具体的対応を協議して結論を出す。

これと別に、政府は能登6市町で分散型水道に関する技術実証事業(上限3億円)を今月末まで公募しており、来年度中に事業化する。一時孤立した珠洲市真浦地区などでは排水を循環浄化する技術の活用が検討されているという。水質基準や維持管理の方法について実証事業で検証し、将来的に他の自治体への展開を目指す。

分散型水道システム

水源から取水した水を浄水場で衛生的に浄化し、配水網を通じて各世帯へ届ける大規模集約型システムに対し、中山間部で用いられる小規模で簡易な水供給の総称。旧来から各世帯で使用される井戸水や湧水を活用した小規模水道に加え、浄水場から配水池へ水を運ぶ運搬送水や、最新の水循環技術を駆使した浄化槽などの方法がある。

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