南海トラフ臨時情報「地震を意識するきっかけに」 高知・愛知の避難所は「1週間をめど」
産経ニュース / 2024年8月14日 19時4分
平常時より発生の可能性が高まっているとして、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表してから15日で1週間。地震活動や地殻変動に変化が観測されなければ、内閣府は15日午後5時に注意の呼びかけを終了する。避難所を開設するなどしていた自治体は1週間をめどに対応を解除していくが、専門家は住民らに対し「地震発生時の対応を意識するきっかけにして」と呼びかけている。
太平洋に面し最大34メートルの津波が想定されている高知県黒潮町では町内全域に「高齢者等避難」を発令し、約30カ所の避難所を開設した。避難者は最大で10人に満たず、順次閉鎖を進めている。
14日午前時点で開設しているのは福祉避難所を含む2カ所。自宅で過ごすのは不安という高齢者らが夜間に身を寄せているという。担当者は「避難状況にもよるが、15日夕まで避難所を開設する予定。その後、今回の対応について検証したい」と話した。
最大震度7の揺れが想定される愛知県岡崎市は防災対応指針に基づき、臨時情報が発表された直後の8日夜に20カ所の避難所を開設。9日にかけて1人が身を寄せた。
熱中症対策を徹底するため、9日にはエアコンがない小中学校の避難所18カ所を閉じ、2カ所に減らした。市は水や食料の備蓄や家具の固定状況など地震への備えを再確認するよう呼びかけており、担当者は「避難所の開設は1週間をめどと考えている」とした。
片田敏孝・東大特任教授(災害社会工学)は今回の臨時情報について、交流サイト(SNS)上では発表を判断した国や専門家への批判のほか、どう行動をすればいいのかわからないことなどへの不満が相次いで投稿されていたと指摘。しかし、「臨時情報は客観的な分析をもとに発生リスクが高まったことを伝えるものであり、個人の行動を指南するものではない」と説明する。
1週間が経過した後の対応について、片田氏は「過去の歴史を見ても南海トラフ地震はいずれ発生する。その際にどう行動するかは、それぞれが自分で判断するしかない」と強調。「今回の臨時情報を普段から避難所や避難経路の確認、家具の固定、災害時の備蓄品の用意などを意識するきっかけにすべきだ」と話した。
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