南海トラフ地震、1週間後もコンビニ1割休業 業界団体が初調査、備蓄呼びかけ
産経ニュース / 2025年1月18日 18時23分
近い将来発生が予想される南海トラフ巨大地震が起きた場合、全国に約5万7千店あるコンビニエンスストアの1割で発生1週間後まで休業が続くとの調査結果を、業界団体が初めてまとめた。被害の大きい地域では3日後に3割が休業し、1週間後も2割に及ぶとした。コンビニは社会インフラとして災害時に欠かせない存在だが、南海トラフ地震では道路の寸断などで休業の長期化は避けられず、今後は各家庭での備蓄を呼びかける。
コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会(東京)は令和3年、内閣府などとともに共同研究会を発足。昨年1月から南海トラフ地震で被災が想定される各県や関西広域連合も加わり、南海トラフ地震や首都直下型地震が物流網や各店舗に与える影響について、政府の被害想定に基づき調べた。
調査結果によると、南海トラフ地震の発生当日は全国のコンビニ店舗で水や食料が品薄となり、商品搬送を強化しても発生3日後の時点で店舗の1割が休業、1週間後も同様の状況が続くとしている。さらに半島や沿岸部など被害の大きい地域の店舗は発生当日に商品がなくなり、配送停止などで3日後も3割の店舗が休業、1週間後でも2割の店舗が営業を再開できないと指摘した。
南海トラフでは3日~1週間商品届かず
研究会は昨年元日の能登半島地震と同様、南海トラフ地震でも紀伊半島や四国などの沿岸部、山間部では道路の寸断により3日~1週間は商品を届けられないと分析。また、首都直下地震でも停電地域では店の休業が相次ぐとし、「(個々の住民が)自助努力で水や食料を備蓄し、災害に備えることが不可欠」と結論づけた。
調査結果を受け、コンビニ各社は今月、災害に備え、日頃から食料などを買い足し備蓄する「ローリングストック」の啓発活動をスタート。各社の交流サイト(SNS)や店内放送などで今後、それぞれの家庭で最低3日分、可能なら1週間分の備蓄を呼びかける。
協会の担当者は「これまで業界では災害時に一日も早く営業を再開させようとしてきたが、能登半島地震のように道路の寸断が長引くと、どうしても(商品が)届かないところが出てくる。消費者側にも備えがないと、南海トラフ地震への対応は難しい」と話した。
南海トラフ巨大地震
駿河湾から日向灘沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)に沿って起き、おおむね100~150年間隔で発生しているとされる地震。政府の地震調査委員会は今月15日、今後30年以内にマグニチュード(M)8~9級の地震が30年以内に発生する確率を「70~80%」から「80%程度」(75~82%)に引き上げた。最大30メートル超の津波を引き起こす恐れがあり、国は死者を最大32万3千人と推計している。
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