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「太陽がいっぱい」で人気、サッカー「皇帝」 今年亡くなった方々に思いをはせて(下)

産経ニュース / 2024年12月31日 11時0分

令和6(2024)年も人々の記憶に残り続ける多くの著名人がこの世を去った。論壇、学術研究で打ち立てた功績は輝き、演技や音楽、スポーツなどでもたらした感動はいまも色あせない。それぞれの面影に思いをはせ、年末を迎える。(年齢の次は死去または死亡確認の月日。海外は現地時間)

プーチン政権追及…海外分野

露反体制活動家のアレクセイ・ナワリヌイさん(47歳、2・16)は、プーチン政権の不正を追及して抵抗を呼びかけ、刑務所に収監されていた。

イラン大統領だったライシ師(63歳、5・19)はイスラム法学者出身で反米の保守強硬派として知られたが、ヘリコプター事故で急逝。

元ペルー大統領のアルベルト・フジモリさん(86歳、9・11)は日系人初の同国大統領となり、日本大使公邸人質事件を解決に導いた。

仏元法相、ロベール・バダンテールさん(95歳、2・9)は仏の死刑廃止を実現。ベトナム共産党書記長だったグエン・フー・チョンさん(80歳、7・19)は反汚職運動を推進した。

2002年のノーベル経済学賞受賞者で米プリンストン大名誉教授、ダニエル・カーネマンさん(90歳、3・27)は行動経済学の先駆者だった。

物に重さを与える素粒子「ヒッグス粒子」の存在を予言した英エディンバラ大名誉教授、ピーター・ヒッグスさん(94歳、4・8)は、13年のノーベル物理学賞を受賞した。

ノルウェーの社会学者、ヨハン・ガルトゥングさん(93歳、2・17)は「平和学の父」と呼ばれた。森田隆さん(100歳、8・12)はブラジルで被爆体験を証言し、在外被爆者援護の道を開いた。

イタリアが生んだ現代最高峰のピアニストの一人、マウリツィオ・ポリーニさん(82歳、3・23)は日本でも人気が高く、高松宮殿下記念世界文化賞も受賞した。

バイオリニストのウェルナー・ヒンクさん(81歳、5・21)は、ウィーン・フィルの元コンサートマスターで、上皇后さまとも親交があった。

美男子の代名詞だった仏俳優、アラン・ドロンさん(88歳、8・18)は映画「太陽がいっぱい」などで知られ、日本でも高い人気を誇った。

米音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズさん(91歳、11・3)は米歌手、マイケル・ジャクソンさんのアルバム「スリラー」などを手掛けた。

米の彫刻家、リチャード・セラさん(85歳、3・26)、伊の具象彫刻家、ジュリアーノ・ヴァンジさん(93歳、3・26)、米のビデオアーティスト、ビル・ヴィオラさん(73歳、7・12)、独の現代美術家、レベッカ・ホルンさん(80歳、9・6)はそれぞれ世界文化賞を受賞した。

米歌手のエリック・カルメンさん(74歳、3月)はバラードの名手として知られた。作家のマリーズ・コンデさん(90歳、4・2)はカリブ海の仏海外県出身。米作家のポール・オースターさん(77歳、4・30)は小説「ガラスの街」などで知られる。

米現代美術の巨匠、フランク・ステラさん(87歳、5・4)は絵画から彫刻まで幅広い作品で知られた。カナダの作家、アリス・マンローさん(92歳、5・13)は13年にノーベル文学賞を受賞。作家、マークス寿子さん(88歳、6・15)は英国を拠点に日本を批評した。

仏の俳優、アヌーク・エーメさん(92歳、6・18)は映画「男と女」、カナダ出身の俳優、ドナルド・サザーランドさん(88歳、6・20)は映画「マッシュ」に出演した。

アルバニアの作家、イスマイル・カダレさん(88歳、7・1)は英「ブッカー賞」の国際賞初代受賞者。ブラジル音楽界の巨匠、セルジオ・メンデスさん(83歳、9・5)はボサノバブームの立役者だった。

サッカー界の「皇帝」と呼ばれたフランツ・ベッケンバウアーさん(78歳、1・7)は1974年ワールドカップで西ドイツ(当時)代表を優勝に導いた。

アメリカンフットボール元スター選手、O・J・シンプソンさん(76歳、4・10)は元妻らの殺害事件で無罪評決が出たが民事裁判で賠償を命じられた。

ピート・ローズさん(83歳、9・30)は米大リーグ通算4256安打の最多記録を持ちながら、監督時代に野球賭博に関わったとして永久追放処分を受けた。

ケニアのケルビン・キプタムさん(24歳、2・11)は男子マラソン世界記録保持者。元米大リーグ投手、フェルナンド・バレンズエラさん(63歳、10・22)はドジャースなどで活躍した。リッキー・ヘンダーソンさん(65歳、12・20)は米大リーグで歴代最多の通算1406盗塁、2295得点を誇った。

「ダイソー」展開…政治・経済分野

大創産業を創業した矢野博丈さん(80歳、2・12)は100円均一ショップの草分けである「ダイソー」を展開。元財務省財務官の溝口善兵衛さん(78歳、8・20)は円高阻止のため為替介入を指揮、島根県知事も務めた。

福島第1原発事故当時に東京電力(現東京電力ホールディングス)の会長だった勝俣恒久さん(84歳、10・21)は賠償など対応の陣頭指揮を執った。スズキ元会長の鈴木修さん(94歳、12・25)は同社を世界的な自動車メーカーに育て上げ、国内では軽自動車の普及に尽力した。

福地茂雄さん(89歳、1・29)はアサヒビール(現アサヒグループホールディングス)社長、NHK会長を務めた。安倍晋三元首相の母、安倍洋子さん(95歳、2・4)は岸信介元首相の長女。赤松良子さん(94歳、2・6)は文相を務めた。元衆院議員の徳田虎雄さん(86歳、7・10)は医療法人「徳洲会」を設立。元高島屋常務の石原一子さん(100歳、12・1)は同族経営を除く旧東証1部上場企業で女性初の役員だった。

大賞受賞者も…「正論」執筆メンバー

日本の進路を考え、「正論」執筆メンバーとして健筆を振るった人たちの訃報も相次いだ。

外交評論家で杏林大名誉教授の田久保忠衛さん(90歳、1・9)は、本紙が発表した憲法改正案「国民の憲法」要綱の起草委員長を務めた。

保守論壇を代表する論客の一人だった政治評論家の屋山太郎さん(91歳、4・9)は、歯に衣(きぬ)着せぬ論陣を展開し「喧嘩(けんか)太郎」の異名でも知られた。

米ヴァンダービルト大名誉教授のジェームス・E・アワーさん(82歳、5・16)は米国防総省元日本部長で、知日派論客として日米同盟強化に尽力した。

19世紀ドイツ思想史研究の第一人者で評論家の西尾幹二さん(89歳、11・1)は先の大戦で日本とドイツの戦争責任を同一視する論調を批判した。4氏は正論大賞を受賞した。

神戸大名誉教授の五百旗頭真さん(80歳、3・6)は戦後日本の実像を描いた著作を発表。政府の東日本大震災復興構想会議議長や防衛大学校長を務めた。

元最高検検事で筑波大名誉教授の土本武司さん(89歳、5・6)は司法制度改革に積極的に発言した。京都大名誉教授の市村真一さん(99歳、7・3)はアジア経済論などを研究した。

文芸評論家の福田和也さん(63歳、9・20)は保守派論客として活躍した。慶応大名誉教授で法学者の阿川尚之さん(73歳、11・12)は駐米公使を務めた。

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