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28人が証言し、冷めた夫婦関係など明らかに 8日からの被告人質問では何を語るのか  紀州のドン・ファン公判

産経ニュース / 2024年11月7日 19時30分

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などに問われた元妻、須藤早貴被告(28)の和歌山地裁での裁判員裁判は8日から被告人質問が始まる。被告は無罪を主張し、7日までに28人の証人尋問を実施。犯罪に関する検索履歴や冷めた夫婦関係といった間接証拠が明らかになる中、死亡時に野崎さん宅で2人きりだった被告が何を語るのか注目される。

「老人 完全犯罪」。平成30年2月に野崎さんと結婚した被告は同月下旬以降、犯罪に関連するワードを繰り返し検索していた。同年4月7日には「覚醒剤 過剰摂取」と調べ、同日中に密売人に電話をかけていた。

野崎さんが急性覚醒剤中毒で死亡した後には「殺人罪 時効」と検索。友人にLINE(ライン)で「財産もらうつもりだったよ。欲のせいで足元をすくわれたけど」とメッセージを送っていた。

結婚条件は月100万円の支払いだったが、結婚後間もなく野崎さんは被告の態度に不満を示し、周囲に「失敗だった。離婚する」と漏らすようになった。

野崎さんの遺体は同年5月24日午後10時半過ぎに自宅2階で見つかった。検察側は覚醒剤を摂取した時間を午後4時50分~午後8時ごろと推定。防犯カメラ映像に基づき、この間、被告と野崎さんは2人きりだったと指摘した。

被告のスマートフォンには、午後5時7分~午後7時53分に8回、1階から2階へ行った記録があった。一方、午後8時過ぎに野崎さん宅に戻った家政婦は捜査当局に対し、「(被告は)いつもは2階にいるが、この日は1階にいて不思議だった」と帰宅後の様子を説明。家政婦は認知症の影響で出廷せず、調書の読み上げに終わったが、家政婦の親族ら複数人が事件後に同様の説明を本人から聞いたと証言した。

被告の無罪主張を踏まえ、野崎さんが自殺したり覚醒剤を誤飲したりした可能性も焦点となっている。

「必ずきてください」。死亡日の午後5時半ごろ、野崎さんは知人と電話し、翌月に予定されていた愛犬のお別れ会への参加を求めていた。知人は野崎さんの様子に「異変はなかった」と語気を強めた。野崎さんが経営していた会社の元従業員4人も自殺の前兆や薬物使用の形跡は「ない」と口をそろえた。

被告の前に約10年間、野崎さんと婚姻関係にあった女性も出廷。違法薬物の事件が報道されると「人として最低」と軽蔑していたといい、「覚醒剤を体に入れるのはありえない」と述べた。

野崎さんと覚醒剤との関係に言及したのは、約20年前から付き合いがあったという別の女性。電話で「覚醒剤やってる」と言われたことがあるとしたが、「ふざけている様子で気に留めていなかった。覚醒剤を使う人ではない」とも語った。

被告自身は法廷で野崎さんとの結婚生活や死亡日の言動をどのように説明するのか。被告人質問は3日間予定されている。

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