「危険運転」適用に高いハードル 宇都宮の死亡事故のほかにも遺族が訴因変更求める動き
産経ニュース / 2024年10月10日 20時35分
昨年2月に宇都宮市で発生した死亡事故で、宇都宮地検が法定刑の重い危険運転致死罪への訴因変更請求に踏み切った。無謀な運転を巡っては、遺族から危険運転致死罪の適用を求める声が上がっているが、適用のハードルは高い。
「うれしい。やっと土俵に乗った。この1年間は無駄ではなかった」
宇都宮市の事故で死亡した佐々木一匡さんの妻、多恵子さんは10日、こう語った。
石田颯汰被告は当時、法定速度60キロの国道を、時速160キロ超で車を運転。しかし、昨年3月に起訴された罪名は自動車運転処罰法違反の過失致死罪だった。
同法は危険運転の要件として「進行を制御することが困難な高速度」などと定義。高速度でも制御が「困難」といえなければ適用できない。
地検は当初、「現場が直線道路で高速度でもまっすぐ運転できた」ため、制御困難の要件は満たさないと多恵子さんに説明していた。遺族側によれば、その後の捜査で、実際には現場がカーブで下り坂だったことなど、制御が困難だったといえる証拠を固めたとみられる。
危険運転の適用はほかにも問題になってきた。
大分市で令和3年2月に起きた死亡事故では被告が時速194キロで運転していたが、直線道路だったため、大分地検が過失致死罪で起訴。補充捜査を経て危険運転致死罪に訴因変更された。
今年5月に群馬県伊勢崎市で2歳の男児ら3人が死亡するなどした事故でも被告が過失致死傷罪で起訴されており、遺族は危険運転致死傷罪への変更を求めている。(橘川玲奈)
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