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〝逸失利益100%〟判断の理由 母、声震わせ「娘の11年が認められた」

産経ニュース / 2025年1月20日 17時0分

判決を受けて会見する父親の井出努さん(左)=20日午後、大阪市北区(弓場珠希撮影)

大阪市生野区で平成30年、暴走した重機にはねられ死亡した先天性の難聴がある井出安優香(あゆか)さん=当時(11)=の遺族が、運転手側に計約6100万円の損害賠償を求めた訴訟で、将来得られたはずの収入「逸失利益」を障害がない子供と同じ基準で算定して計約4400万円の賠償を命じた20日の大阪高裁判決。徳岡由美子裁判長は「障害の有無に関わらず、健常者と同等に働くことが十分可能だった」と判断した。

判決を受けて会見した母、さつ美さんは「安優香の11年の努力が認められた」と声を震わせ、「障害があるから無理というのは固定観念。いろんな『できる』『分かる』を見せてくれた子だった」と話した。父、努さんは裁判で戦った5年間について「(被告側の主張に)精神的に苦しめられ、誹謗(ひぼう)中傷も受け、すごくつらかった」と振り返った。

1審大阪地裁判決は、「障害が労働能力を制限し得る事実であること自体は否定できない」として、全労働者の平均年収の「85%」と判断。遺族側が障害を理由に減額すべきではないとして控訴していた。

徳岡裁判長はまず、全労働者の平均年収から減額するのは「顕著な妨げとなる事由が存在する場合に限られる」と言及した上で、安優香さんの状況を検討した。

安優香さんは、補聴器を利用すれば通常の会話の聞き取りが可能で、両親や聴覚支援学校での教育を受けて「学年相応の言語知識や学力を身に付けていた」と指摘。障害者法制の整備や社会意識の変化に加え、急速なデジタル技術の進歩も踏まえれば、「顕著な妨げとなる事由はなく、労働能力の制限があるということはできない」と結論付けた。

判決によると、事故は平成30年2月、大阪府立生野聴覚支援学校前で発生。安優香さんが死亡し4人がけがをした。刑事裁判で事故原因はてんかん発作による意識喪失と認定され、運転手は自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などで懲役7年が確定した。

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