司法取引定着に課題 供述信用性「慎重」判断崩せず 日産元代表取締役ケリー被告2審判決
産経ニュース / 2025年2月4日 20時51分
日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(70)の役員報酬を過少記載したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われた元代表取締役、グレゴリー・ケリー被告(68)の控訴審判決は、起訴内容のほとんどを無罪とした1審を支持する形で幕を閉じた。司法取引(協議・合意制度)で得た供述についても、大半の信用性を否定した1審を支持。裁判所の司法取引への慎重な姿勢が再度浮き彫りとなり、検察側に重い宿題が課された形だ。
「検察官の意向に沿うような供述をしてしまう危険性をはらんでいる」
控訴審判決は、司法取引で得たことを念頭に、ケリー被告の関与を示す元秘書室長の供述の信用性についても、ほぼ1審を踏襲した。
検察側は平成22~29年度の過少記載について起訴したが、1審は、29年度のみを有罪とした上、立件が見送られた21年度の過少記載について、ケリー被告とゴーン被告らの共謀を認定した。検察側は控訴審で、21年度の共謀が成立するのであれば、22年度以降の共謀も認定するのが自然、などと主張を展開。元秘書室長の供述についても「核心部分で一貫している」と訴えた。
今後の捜査への影響懸念
しかし、控訴審判決は21年度について、年度末に役員報酬の開示義務が生じる制度改正があったという「緊急の事態」が生じて対応したもので、「翌年度以降とは事情が異なる」と指摘。翌年度以降のケリー被告の故意を否定した。
また、元秘書室長の供述に関しては1審判決が裏付け証拠のあるもののみを採用したことについて、検察側は「裏付けが十分でない供述は、基本的に証拠として採用しないと述べているに等しい」と疑問を呈していた。ただ、控訴審判決はこの点についても、「裏付け証拠の有無のほか、内容の自然さ、具体性なども踏まえて(信用性を)判断している」と指摘。必ずしも司法取引で得た供述を理由に信用性を否定していないと切って捨てている。
ある検察幹部は「犯罪のスタート地点とゴール地点はケリー被告の共謀を認めているのに、その他を無罪とする判決は雑過ぎるのではないか」と1審、控訴審判決ともに批判。別の検察幹部も「司法取引を使う今後の捜査にも確実に影響する」と話した。(桑波田仰太、久原昂也、星直人)
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