控訴審の争点も引き続き責任能力か 1審死刑判決の京アニ事件、プロ裁判官はどう裁く
産経ニュース / 2024年7月18日 19時34分
36人が死亡し、32人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件は18日で発生から5年となった。殺人罪などに問われた青葉真司被告(46)は今年1月、143日間に及ぶ異例の長期審理の末、京都地裁で死刑判決が言い渡された。被告側は判決を不服として大阪高裁に控訴したが、プロの裁判官のみで裁く控訴審が始まる見通しは立っていない。
1審での主な争点は、被告の刑事責任能力の有無や程度だった。判断材料の一つが、被告が抱えていたとされる「妄想」だった。
公判では検察側と弁護側の主張が真っ向からぶつかり、鑑定医の意見も割れた。検察側は死刑を求刑。弁護側は妄想性障害による心神喪失や耗弱を主張したほか、死刑の残虐性や建物の構造によって被害が拡大したとも訴えた。
京都地裁判決は被告が罹患(りかん)していた妄想性障害が動機形成に影響を与えたと認めつつ、ガソリンを用いた放火殺人を選んだのは自身の意思であり、妄想性障害は犯行自体にはほとんど影響しなかったとした。また犯行前に現場付近で逡巡(しゅんじゅん)したことなどを踏まえ、被告の完全責任能力を認定した。
青葉被告は1審判決後、自身の考えが鑑定医から妄想と判断されたことに不満を示し「自分としても発信したい」などとも述べていた。
2審での弁護方針は明らかでないが、1審で事実関係に争いはなかったことなどから、最大の争点は引き続き責任能力になるとみられる。(荻野好古)
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