「時の壁」越えられるか 旧優生保護法訴訟、3日に最高裁判決
産経ニュース / 2024年7月2日 18時38分
旧優生保護法下で障害などを理由に不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして各地の被害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟で3日、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)が判決を言い渡す。訴訟で「時の壁」として立ちはだかってきた「除斥期間」が適用されるかが最大の焦点。「戦後最大の人権侵害」とされながら長く歴史に埋もれてきた被害に、最高裁が統一判断を示す。
訴訟では高裁段階で4件が国の賠償責任を認め、1件が否定。結論を分けたのは、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅すると定める民法(当時)の除斥期間だ。
除斥期間は、権利関係を速やかに確定させることを目的としたもの。最高裁は平成元年、旧民法の規定について「当事者の認識にかかわらず、20年経過すれば自動的に請求権が消滅する」と解釈し、この考え方が下級審でも踏襲されてきた。最高裁が「例外」として除斥期間を適用しなかったのは2例しかない。
今回の原告はいずれも手術から20年以上が経過しており、1審は5件すべてで敗訴。ただ、大阪高裁は令和4年、除斥期間を適用すれば「著しく正義・公平の理念に反する」として賠償を命じ、仙台高裁をのぞいて原告勝訴が続いた。
勝訴判決でも、原告の訴えを認める期間の判断は分かれている。札幌高裁は提訴に必要な情報が得られるようになってから6カ月以内、大阪高裁(令和5年)は「国が違憲と認めるか、違憲判決が最高裁で確定してから」6カ月以内の提訴なら認められると判断した。
最高裁は除斥期間に加え、旧法の違憲性も含めて判断する見通しだ。(滝口亜希)
16日に全国電話相談
日本弁護士連合会と各地の弁護士会は16日午前10時から午後4時に、旧優生保護法を巡る全国一斉相談会を開催する。
電話番号は0570-07-0016で、自動的に相談者の近くの弁護士会につながり、弁護士が無料で相談に応じる。
不妊手術や人工妊娠中絶を受けた被害者や家族、福祉関係者などが対象で、日弁連は「気軽に相談してほしい」と呼びかけている。
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