「救済の道広げた」 松久三四彦・北海学園大学特任教授 旧優生保護法判決
産経ニュース / 2024年7月3日 22時58分
旧優生保護法を違憲とした3日の最高裁判決の意義などについて、松久三四彦(みよひこ)・北海学園大学法務特任教授(民法)について聞いた。
◇
旧優生保護法を違憲とした今回の最高裁判決は、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅するとする「除斥期間」について、著しく正義・公平の理念に反する場合は、除斥期間を適用しないことができるとし、最高裁の判断を数十年ぶりに変更した。提訴できる期間を限定して賠償を認めていた高裁判決よりも被害者救済の道を広げた点でも、意義は大きい。
判決によって、今後は同種の旧優生保護法の被害者の訴訟だけでなく、予防接種でB型肝炎に感染した被害者の訴訟や、水俣病の集団訴訟など、過去の国の責任を問う他の訴訟でも被害者救済の道が広がった点で注目される。
旧優生保護法による被害者が今後、個別に国を訴える訴訟を通じて救済を受けていくコストは極めて大きい。
国は現行の一時金を支払う制度を抜本的に見直し、今回の判決を基に被害を類型化して賠償金額を算定し、訴訟を提起しなくても被害者が救済される特別法を制定するなどの必要な措置を講じ、全面的な解決を早期に実現すべきだ。
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