旧優生保護法は「違憲」、国に賠償命じる 除斥期間適用せず 被害救済へ 最高裁大法廷
産経ニュース / 2024年7月3日 19時40分
旧優生保護法下で障害などを理由に不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、各地の被害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は3日、「旧法は憲法違反」として国の賠償責任を認める統一判断を示した。原告はいずれも手術から長期間が経過しているが、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅すると定める民法(当時)の「除斥期間」は適用しなかった。
裁判官15人全員一致の結論。「戦後最大の人権侵害」と言われる旧法下での手術に、全面的に救済の道を開いた。国は補償の在り方などの見直しを迫られることになる。水俣病訴訟など国の過去の責任を問う他の訴訟へも影響が見込まれる。
最高裁が法令の規定を違憲と判断するのは戦後13例目で、立法の時点で違憲だったと明確に判断したのは今回が初めて。
除斥期間については平成元年の最高裁判例を変更し、「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には適用されない」との初判断を示した。
大法廷は旧法下の手術は「意思に反して身体への侵襲を受けない自由」を保障した憲法13条、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとした。
そして、手術を推進し、適切な補償などを行わなかった国が除斥期間を理由に賠償責任を免れることは、著しく正義・公平の理念に反し、「容認できない」とした。
高裁で原告が勝訴した4件は国の上告を棄却し、原告の勝訴が確定。原告が敗訴した仙台高裁判決は破棄し、賠償額を算定するために審理を高裁に差し戻した。
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