2歳女児死亡は「虐待」か「病気」か 大阪高裁が懲役12年を破棄し、養父に逆転無罪判決
産経ニュース / 2024年11月28日 19時45分
大阪市東淀川区で平成29年、養子の女児=当時(2)=の頭部に何らかの衝撃を加え、死亡させたとする傷害致死罪などに問われ、1審大阪地裁で懲役12年の判決を受けた今西貴大被告(35)の控訴審判決公判が28日、大阪高裁で開かれた。石川恭司裁判長は「外力によって脳幹が損傷した証拠はない」として1審の有罪判決を破棄。全ての起訴内容について無罪を言い渡した。
傷害致死事件で争われたのは、急変時の心停止が暴行という「外因」によるものだったか否か。女児には急性硬膜下血腫などがあり、令和3年3月の1審判決は、頭部外傷によって心機能をつかさどる脳の中心部分「脳幹」などが損傷し、心停止したと判断。女児と2人きりだった今西さんが犯人だと結論付けた。
しかし、石川裁判長は控訴審での医師らへの証人尋問を踏まえ、「CT画像で脳自体の損傷がみえる」などと証言し、1審が重視した別の医師の診断には誤りがあると判断。公判では脳幹に損傷があることも、頭部に強い力が加わったことも証明されておらず、今西さんがほかに身体的虐待を行っていた事情もみられないとし、推認を重ねて有罪を導いた1審判決は「論理則経験則に反する明らかな不合理がある」と断じた。
病気や窒息などの「内因」によっても心停止や頭蓋内出血は起こり得るが、そうした可能性も排斥されていないとした。
今西さんは傷害致死罪のほか、女児の肛門に異物を挿入し、裂傷を与えたとする強制わいせつ致傷罪と傷害罪でも起訴。1審は傷害罪を無罪としつつ残る2つの罪を認定し、検察側と弁護側の双方が控訴していた。
石川裁判長は強制わいせつ致傷事件についても、「排便による傷でなければ異物挿入で間違いない」とした1審の判断を疑問視。控訴審で証人の医師が別の可能性を証言した一方で「異物挿入を認める証拠はない」として無罪を言い渡した。傷害罪についての検察側の控訴は棄却した。
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