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アスベスト労災記録誤廃棄で国に賠償命令 違法性一部認定 神戸地裁

産経ニュース / 2024年7月11日 19時15分

神戸地裁=神戸市中央区

アスベスト(石綿)による健康被害で死亡した兵庫県三木市の男性=当時(54)=の遺族が、石綿に関する労災記録を労働基準監督署が誤廃棄したことは違法として、国に約300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、神戸地裁であった。野上あや裁判長は、違法性の一部を認め、国に慰謝料など1万1千円の支払いを命じた。弁護団によると、公文書の誤廃棄について国家賠償法上の違法性が認められたのは初めてという。

判決などによると、建設現場で働いていた男性は石綿の粉塵(ふんじん)に暴露して中皮腫で平成15年に死亡した。加古川労基署は20年に労災認定。厚労省が17年に石綿関連文書を保存するよう通知したのに、同署が保存期間を延長せず、27年に男性の記録を誤って廃棄した。

野上裁判長は、加古川労基署は厚労省の通達を見過ごし、労災記録の文書の保存基準を改定するのを怠ったと指摘。「許容される限度を逸脱し著しく合理性を欠く」として、国賠法上の違法性を認定した。一方、同署が廃棄を厚労省と兵庫労働局に報告しなかったことなどについての違法性は認めなかった。

男性の息子は弁護団を通じ「父も労災記録も戻ってこないが、二度と同じようなことにならないよう改めて対策をしてほしい」とコメントした。

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