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弁護士への苦情が高止まり 音信不通、モラル低下…東京弁護士会に年2000件超

産経ニュース / 2024年9月11日 21時11分

東京都内の弁護士への依頼人からの苦情が高止まりしている。所属会員数が全国で最も多い東京弁護士会の市民窓口には近年、2千件以上の苦情が毎年寄せられる。背景にあるのは、国際ロマンス詐欺や投資詐欺での被害金回収を請け負った一部の弁護士のモラルの低下。同会は「弁護士全体への信頼低下につながりかねない」と、苦情に対応する態勢を強化するなど危機感を強めている。

「依頼した弁護士と1カ月以上連絡が取れない」「着手金を払ったのに、弁護士が何もしてくれない」

会員数9000人を超える東京弁護士会の市民窓口にはここ数年、こうした相談が多く寄せられるようになった。

同会によると、令和5年の1年間で寄せられた弁護士への苦情は延べ2695件。4年の3001件からは減ったものの、5年前にあたる平成30年の2262件からは約20%増加している。

苦情の内容は弁護士報酬に対する不満や、口調や態度に関するものなど多岐にわたり、必ずしも弁護士側に落ち度があるとは限らない。

ただ、弁護士が正常な判断ができなくなって十分なサービスを提供してもらえなくなるなど、弁護士自身の認知能力の低下がうかがわれるような苦情もあり、依頼者からみれば深刻だ。

起訴される弁護士も

苦情のなかでも特に問題なのは弁護士と連絡が取れないことを訴える苦情だ。同会によると、苦情全体の約3割を占めるという。

音信不通となる弁護士で特に悪質なのが、近年問題となる国際ロマンス詐欺や投資詐欺の被害金回収を請け負ったケースだ。

6月には、弁護士資格のない男らに名義を貸したとして警視庁が弁護士法違反容疑で元衆院議員で弁護士の今野智博被告(49)らを逮捕。7月に東京地検に同罪で起訴された。

この事件では、今野被告らが投資詐欺やロマンス詐欺の被害回復を求める被害者らから着手金計約5億円を受け取っていたことが捜査で明らかになっている。

東京弁護士会の市民窓口にも、別の弁護士から似た被害を受けたとする苦情が多数寄せられてきたという。

「自ら襟を正す」

こうした状況を重く受け止め、東京弁護士会では今年4月から、寄せられた苦情を調査する態勢を強化した。

これまでは会員1人で調査することもあったが、常に複数の会員で調査にあたることとし、最大で3つの調査チームを同時に稼働させることが可能な態勢を整えた。

チームは特に緊急度の高い案件の調査を担い、主に苦情が寄せられた弁護士本人から事情を聴くなどする。

同会の市民窓口調査委員会の山本昌平委員長は「市民からの信頼を裏切るようなことはあってはならない」と強調。その上で「弁護士は国と裁判をするなど、国家権力と戦うことがある。自ら襟を正す意味でも、弁護士会として苦情に真摯(しんし)に向き合うことが大切だ」と話している。(桑波田仰太)

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