1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

主任検事「有罪得られると考えていた」立件判断に問題なしとの認識 プレサンス国賠訴訟

産経ニュース / 2024年6月19日 11時35分

学校法人の土地取引を巡る横領事件で大阪地検特捜部に逮捕、起訴され、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」元社長の山岸忍氏(61)が違法捜査を訴えて国に賠償を求めた訴訟の口頭弁論が18日、大阪地裁(小田真治裁判長)であった。事件の主任検事は証人尋問で「証拠に照らして有罪判決が得られると十分に考えていた」と立件の判断に問題はなかったとの認識を示す一方、「結果的に(山岸氏が)無罪になったことは真摯(しんし)に受け止める」と述べた。

訴訟では、別の男性検事が取り調べ中に机をたたくなどしたことが明らかになっている。主任検事は前回14日の証人尋問で、自身は「同じような言動をしたことがない」と証言していたが、山岸氏側はこの日、主任検事が過去の別事件の取り調べで机をたたいて容疑者を怒鳴ったとして、裁判所が供述調書の証拠能力を否定していたことを示す公判調書を新たに証拠提出した。

証人尋問では主任検事をはじめ、捜査を担った検事計4人が3日間にわたって出廷、一連の検事への尋問はこの日で終了した。山岸氏側は当時の特捜部長らの尋問も求めていたが、撤回した。

次回10月の口頭弁論を経て、地裁は年度内にも国に賠償責任があるかどうかの判断を示す見通し。

山岸氏側「改竄事件の教訓 形骸化」と批判

大阪地検特捜部に在籍していた検事4人に、当時の事件捜査に違法性がなかったか尋ねる3日間にわたる異例の証人尋問が終了した。業務上横領事件の共犯とされ、後に無罪が確定したプレサンスコーポレーション元社長、山岸忍氏の立件について、主任検事は「問題なし」との認識を改めて示したが、一連の尋問では関係者に対する威圧的な取り調べの詳細も新たに判明した。

「不穏当だった」。山岸氏の元部下を取り調べた男性検事は11日の証人尋問で、取り調べ中に机をたたいたり「検察なめんなよ」と発言したりしたことを認め、自身の捜査をこう振り返った。

山岸氏側が追及したのは組織内でのチェック態勢だ。平成22年に発覚した同特捜部の押収資料改竄(かいざん)事件を受け、検察内には「総括審査検察官制度」が設けられた。総括審査検察官は担当する事件全ての証拠を把握し、捜査側ではなく弁護人の目線で証拠を精査する役割を担う。

ではこの「不穏当」な取り調べは、内部でいかに評価されていたのか。主任検事の証言によると、総括審査検察官は実際に録音録画映像を見た上で「(不穏当な言動は)明らかに元部下が噓をついている場面だけだ」との理由で問題視しなかったという。

主任検事は総括審査検察官の判断に加え、元部下の弁護人から抗議もなかったため、自身は「捜査段階で映像を見た記憶はない」と述べた。

また2日目の14日の尋問では、学校法人元理事の取り調べを担当した別の男性検事が、山岸氏の逮捕当日に主任検事へ「逮捕は待った方がいい」と進言したと証言。山岸氏の関与を一時認めた元理事が供述を翻したためだった。

改竄事件を受けて制定された「検察の理念」では「積極、消極を問わず十分な証拠の収集、把握に努め、冷静かつ多角的にその評価を行う」と定めている。

だが男性検事が主任検事に進言した約1時間半後に逮捕状は執行されており、山岸氏側は進言を踏まえた証拠の再検討が十分に行われなかったと主張している。

18日の主任検事への尋問では山岸氏自らが、起訴前に「不穏当」な取り調べや、逮捕保留の進言を上司に報告したかどうかを質問。主任検事は「必要な証拠類は積極、消極問わず全て上司と共有している」と答えるにとどめ、明言を避けた。

山岸氏側は尋問終了後の会見で「改竄事件の教訓が形骸化している」と批判した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください