ドンファン元妻が法廷で不満あらわ 「アンフェア」「この国のマスコミどうかしてる」 紀州のドンファン公判 被告人質問詳報
産経ニュース / 2024年11月11日 21時10分
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に致死量の覚醒剤を飲ませて殺害したとして殺人罪などに問われた元妻、須藤早貴被告(28)の裁判員裁判は11日も8日に続いて被告人質問が行われた。午前中は前回と同じく弁護側が質問。検察側が指摘する間接証拠や証人尋問の内容に対して次々と反論。「アンフェア」「私を陥れようとしている」と感情をあらわにする場面もあった。
葬儀中にスマホ?
これまでの証人尋問では、野崎さんが経営していた会社の元従業員らが出廷。野崎さんの葬儀中の被告の態度について「スマホをいじっていた」「笑っていた」などと証言していた。
弁護人「こうした証言が出ていたが」
被告「(元従業員は)社長(野崎さん)の死を悼んでいる様子がなかった。葬儀中に目が合ったときに白目をむいて笑わせようとしてきたので笑ったことはあります。葬儀中は(スマホを)いじっていません」
弁護側は、複数の疑惑について立て続けに問う。野崎さんが平成30年5月に死亡した後、被告は野崎さんの会社の代表取締役に就任し、会社から自身の口座に3834万円を送金させていた。
被告「会社のことは全然分からないから、(以前に別件の依頼をしていた)弁護士に任せていました。社長が死んで(毎月もらっていた)100万円をもらえなくなったので、『代表取締役の給料で30万円ぐらいもらえませんか』と弁護士に聞いたら、3千万円を入金できると言われた。『えっ大丈夫ですか』と確認したら『問題ないです』とのことだった」
弁護人「想定以上の額だった」
被告「はい。もちろんです」
結婚は遺産目的
野崎さん宅の美術品を画商に鑑定してもらうよう依頼もしていた。
被告「(結婚条件である毎月100万円の)5月分をもらう前に死んでしまった。元従業員に振り込みを依頼したが、断られたので」
弁護人「鑑定を依頼してどうなった」
被告「『時間がかかります』と説明を受けた。カードや家賃の支払いがあるから、時間がかかるなら無理だと諦めてお母さんからお金を借りました」
被告は野崎さんとの結婚を家族や親しい地元の友人にも伝えていなかったが、野崎さんの死亡が報道された後に、「財産をもらうつもりだったよ」と遺産目的であることを明かしていた。
被告「社長自身も『遺産をもらってほしい』と言っていた。誰にも、社長本人にも(遺産目的であることを)隠していないです」
事件後の友人へのLINEには《和歌山県警の警察官が北海道に上陸。携帯のデータを渡すように言われても拒否で》と口止めともとれるメッセージもあった。
被告「警察に言った情報はマスコミにリークされる。それが嫌で言った。噓をついてくれとは言っていない。証拠隠滅の意図はないです。ただでさえ人殺し扱いをされてプライバシーを侵害されまくっていたので」
「完全犯罪」と検索履歴
検索履歴についても弁明した。証拠調べで、野崎さんとの結婚後に「完全犯罪」「覚醒剤 過剰摂取」などと犯罪に関するワードを繰り返し検索していたことが明かされている。
弁護人「普段、ネットでどのような検索をしている」
被告「昔から殺人事件とか、グロテスクな不気味な事件の動画を見るのが好きでした」
弁護人は、野崎さんと出会う前から「世界の猟奇殺人者」「サイコパス 有名人」などと検索していたことを明かす。
弁護人「知り合った後も『猟奇的殺人』『溺死』などを検索している。これらを検索したのはなぜ」
被告「特別な理由はありません」
弁護人「(平成30年)3月31日には『老人 死亡』と検索している」
被告「直前に老人ホームで3人が転落死させられた事件に関する動画を見ていた。それが影響している」
「家政婦は噓をついてる」
8日の被告人質問では、弁護側の質問に対し、淡々と答えていた被告。一方、この日はときに自身が犯人視されていることへの不満をあらわにする場面もあった。
これまでの公判で、野崎さんの家政婦は認知症の影響で出廷しなかったものの、供述調書が読み上げられた。その中には事件当日について「普段は2階にいるが、この日は1階にいて不思議だった」「何度か催促してようやく2階へ行った」などと被告の言動を怪しむような発言があった。
弁護人「検察側はこの供述調書を『中立的』と紹介している」
被告「私の悪口ばっかり言っている人を中立的と紹介するのはアンフェアだなと。家政婦は噓をついている。私を陥れようとしている」
弁護人「これまでの取材は」
被告「芸能人でもないのに勝手に写真を撮られてテレビや週刊誌で勝手に使われて、好きなことを言われた。この国のマスコミ、特に週刊誌ですけど、どうかしてるなと」
弁護人「あなたが用意した覚醒剤を野崎さんに口から摂取させて殺害したといわれているが、そういう事実はありますか」
被告「一切ありません」
弁護側からの最後の質問をそれまでより大きな声で回答した被告。2日間にわたった弁護側の質問はいったん終了し、検察側に移る。
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