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「逮捕待った方がいい」捜査の正当性は プレサンス国賠訴訟、あすから特捜検事証人尋問

産経ニュース / 2024年6月10日 14時28分

学校法人の土地取引を巡る横領事件で大阪地検特捜部に逮捕、起訴され、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」元社長の山岸忍氏(61)が違法捜査を訴えて国に賠償を求めた訴訟で、捜査を担った検事4人の証人尋問が11日から大阪地裁で行われる。事件を巡っては不適切な取り調べが指摘されてきたほか、山岸氏の逮捕直前に検事の一人から「逮捕は待った方がいい」との進言があったことも判明。3日間にわたる尋問を通し、特捜部の捜査の正当性が問われる。

事件では、学校法人明浄学院の元理事長(66)らが学院の資金21億円を横領したとして有罪判決を受けた。

特捜部は、いずれも有罪となった山岸氏の元部下(59)と学院の元理事(57)が逮捕後の取り調べで、山岸氏の関与を認めたことを立証の柱として山岸氏を立件。しかし、刑事裁判では2人の供述の信用性が否定され、山岸氏は無罪となった。

今回、証人として出廷するのは山岸氏、元部下、元理事の取り調べを担当した検事3人と事件の主任検事。証人尋問に先立ち、4人は当時の捜査状況を振り返った陳述書を提出した。

「逮捕は待った方がいいと述べたが、方針は変わらなかった」。陳述書でこう言及したのは元理事を取り調べた検事だ。

元理事は一時、山岸氏の関与を認めたが、その後撤回。山岸氏の公判では「認めないと(自身の)量刑は変わらないと言われた」と利益誘導を訴え、裁判所は検察側が求めた供述調書の証拠採用を退けた。

陳述書によると、元理事が撤回を申し出たのは山岸氏の逮捕当日。逮捕方針を知っていた検事は主任検事に注進したが、聞き入れられなかった。訂正調書の作成も打診したが見送られたという。

山岸氏の代理人で元検事の中村和洋弁護士は、こうした進言は「異例」と指摘し、調書を訂正しなかったのは「証拠の隠蔽だ」と批判する。

一方、この検事の陳述書では撤回後の元理事の供述について「不自然かつ不合理」「(山岸氏の関与を引き続き)裏付けることができるのではないかと思った」とも記している。どこまで山岸氏の関与に疑いを持った上での進言だったのか。真意をいかに語るかが注目される。

11日の証人尋問では、取り調べの録音録画映像の一部が法廷で流される。山岸氏の元部下を取り調べた別の検事が「プレサンスの評判をおとしめた大罪人」「損害を賠償できます? 10億、20億じゃすまないですよ」などと迫った場面だ。

元部下は公判でも山岸氏の関与を認める供述を維持したが、裁判所は客観的証拠と整合しない上、取り調べでの発言は「元部下に必要以上に強く責任を感じさせた」と疑問視し、信用性を認めなかった。

山岸氏側はこうした取り調べに至った背景を問うとともに、主任検事をはじめ組織内で取り調べ内容を把握、検証していたか尋問し、冤罪(えんざい)を防ぐためのガバナンスが機能していたかどうかを追及する構えだ。(倉持亮)

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