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<独自>ミャンマー人実習生 失踪9割、在留資格変更 緊急容認の「特定活動」を悪用か

産経ニュース / 2024年9月18日 7時0分

昨年失踪したミャンマー国籍の技能実習生の9割超にあたる1739人が、母国の情勢不安を理由に就労先の制限がほとんどない「特定活動」への在留資格変更を申請していたことが17日、政府関係者への取材で分かった。ミャンマー人実習生の失踪は、特定活動への変更が認められた令和3年以降に急増。転職のために制度を悪用している疑いがあり、政府は運用見直しを検討している。

現行制度では、技能実習生は人権侵害などの問題がない限り原則、実習先の転籍(転職)が認められていない。

一方、政府はミャンマー国軍によるクーデターで情勢が不安定になった3年以降、ミャンマー人が在留期間を終えても帰国が困難だとして、緊急避難的に転職が自由に認められる特定活動資格への変更を認め始めた。

だが、政府関係者によると、2年に250人だったミャンマー人実習生の失踪者は特定活動への変更を認め始めた3年、447人に増加。その後も増え続け、5年には前年の3倍弱にあたる1765人が失踪した。

1765人のうち失踪3カ月以内に所在が把握できたのは1760人で、そのうち1739人が在留資格を特定活動に切り替える手続きをしていた。

政府は犯罪歴があるなどの例外を除いて特定活動への資格変更を認める運用を続けているため、ほとんどが特定活動に切り替えて国内で就労しているとみられる。

なかには実習生として来日して間もなく実習先から失踪して特定活動への変更を申請したケースもあるといい、制度の悪用を前提に来日した疑いがある。

政府は失踪後に申請した実習生などに対しては、特定活動資格への変更の際に就労時間を週28時間以内に制限する運用をしているが、失踪に歯止めはかかっておらず、今後は実習先に戻るよう促すなどの運用見直しを検討している。

「受け入れ先なくなる」危惧

ミャンマー人技能実習生が「特定活動」資格を悪用して失踪している疑いが明らかになった。政府は深刻な人手不足を背景に令和9年までに技能実習制度を新たな「育成就労」制度に変えて受け入れを拡大する予定だが、関係者は「悪用が続けばミャンマー人実習生を受け入れる実習先がなくなりかねない」と危惧する。

「せっかく良好な実習先を確保したのに、失踪が止まらない」。現地でミャンマー人に日本語を教え、日本での実習先確保に奔走してきた「送り出し機関」関係者はそう話す。

技能実習生は送り出し機関で日本語や日本での最低限のマナーなどを学んだ上で来日し、送り出し機関が見つけ出した実習先で働く。

実習先は、実習生の渡航費や送り出し機関への手数料を負担し、日本語教育や研修も受け持つ。だが、失踪すれば、それも損失に転化する。

政府は失踪したミャンマー人であっても国内の情勢不安を理由に特定活動への資格変更を認めているが、このまま失踪が続けば、初期費用を負担してまで受け入れる実習先が先細る恐れがある。

出入国在留管理庁によると、ミャンマー人の技能実習生は令和5年末時点で2万6352人。実習生全体(40万4556人)の約6%を占める。この関係者は「政府は早急に対策を取るべきだ」としている。(宮野佳幸、荒船清太)

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