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「20万円で命は保証」…暴力背景に犯罪強要 トー横キッズ脅した男、支配の構図 法廷から

産経ニュース / 2024年8月9日 8時0分

東京地裁で公判に臨む徳永晋太郎被告(イラストと構成、菅原彩加)

若者が集い、性犯罪や薬物、粗暴事件などの温床とされる東京・歌舞伎町の「トー横」。ここに出入りしていた当時18歳の男性を監禁し、母親から現金を脅し取ったなどとして、監禁や恐喝などの罪に問われた徳永晋太郎被告(39)の公判が東京地裁(四宮知彦裁判官)で始まった。検察側が法廷で明かしたのは、暴力を背景としてトー横キッズを巧妙に犯罪に誘い込む「支配の構図」だった。

「私じゃない」

事件が発生したのは、令和5年3月6日未明のことだ。

起訴状などによると、徳永被告は共犯者とともに男性を車に乗せ、トランクの中に監禁。さらに男性の母親を脅し、現金20万円を奪ったとされる。

7月31日に地裁で開かれた初公判。車いすで入廷した徳永被告は、裁判官から起訴内容への認否を尋ねられると、覇気のない声でこう答えた。

「トランクに閉じ込めたのは、私じゃない」

被告は続いて、共犯者として懲役5年6月の判決が言い渡されている暴力団員、三枝丈人被告(38)に言及。「三枝さんが一人でやりました。恐喝は一切していないです」と述べた。

発端は別のキッズ

無罪を主張する徳永被告側に対し、検察側は冒頭陳述で、トー横界隈(かいわい)で「徳さん」と呼ばれていた徳永被告や三枝被告が、ホテルなどで寝泊まりするトー横キッズたちの宿泊代などを支援する代わりに、犯罪に加担させる構図が背景にあったと言及した。

検察側によると、事件につながるトラブルの発端となったのは、被害者とは別の2人のトー横キッズだった。

両被告は、2人に特殊詐欺の出し子や受け子の仕事を持ち掛けた。高齢者からだまし取った金の15%を報酬として渡す、という条件だったといい、ほかにも大麻や違法薬物の密売もさせたという。

だが、薬物の売上金約8万円を巡り、徳永被告らと2人のうち1人の男性がトラブルに。この男性をかくまった疑いをかけられたのが、今回、車のトランクに監禁された被害者だった。

「最期に聞きたい曲は」

検察側の冒頭陳述によれば、徳永被告らは、歌舞伎町のホテルにいた被害者を「預けたいものがある」と呼び出し、車の後部座席に乗せた。

「最期に聞きたい曲はあるか」

徳永被告らは車内で被害者に殴る蹴るの暴行を加えた上で、そんな命の危険を感じさせるような発言で脅したという。

車は被害者の自宅があるさいたま市へ向かった。その道中、後部座席にいた被害者はトランクに押し込められた。

「さよならだな」

トランクを閉じる前、徳永被告はこう告げたという。

車は被害者の母親が住む自宅近くの駐車場に到着。時刻は午前5時半。寝ていた母親を起こし、駐車場まで呼び出した。

「払わないと命の保証はない」「俺は8万円ごときで殺人はやりたくない」「20万円払えば、命は保証する」-。無関係の母親を前に、徳永被告はすごんだという。

20万円を支払った母親は、のちに警察に被害を相談。事態が発覚した。

検察側の主張に対し、徳永被告はどう反論するのか。被告人質問は9月以降に行われる見込みだ。(橘川玲奈)

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