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「唯一無二」支えるクラフトマンシップ ドルチェ&ガッバーナ次世代の育成にも力 伝統と革新

産経ニュース / 2024年10月10日 8時0分

1985年にドメニコ・ドルチェ氏とステファノ・ガッバーナ氏によって設立されたイタリアの高級ブランド「ドルチェ&ガッバーナ」。同国の歴史や文化に根ざした「イタリアらしさ」が洗練されたデザインに昇華され、世界中にファンを持つ。

日本での事業を率いる藤原総一郎さんは、外資系ブランド66社を中心に構成される海外ファッションブランド協会(OFBA)の次世代育成担当理事を務める。OFBAは高校生がファッションデザインを競い合う「ファッション甲子園」に特別協力し、業界全体の底上げを行う。「各ブランド同士は普段は競争相手ですが、次世代の育成という共通の課題に協力して取り組んでいます」

OFBAが支援するようになってから、優勝校に与えられるパリ研修で、ラグジュアリーブランドのショールームやアトリエなどの見学ができるようになった。藤原さんも2019年に現地で高校生を案内した。「みんなの目がキラキラしていて。高校生のクリエーティビティーに影響を与えることができるのだと実感しました」

若手デザイナー活躍の場、支える

自社でも若手の支援に力を入れる。2022年からはミラノ・ファッションウイークで、新進デザイナーのランウェイショーをサポート。23~24年秋冬は、小泉智貴さんのブランド「トモ・コイズミ」を支援。小泉さん初のミラノコレクション参加を後押しした。

ドルチェ&ガッバーナのデザインは、「他に似たものがなく、『唯一無二のブランド』との評価をよくいただく」という。その個性を支えるのが、藤原さんが「われわれのDNA」と形容する「クラフトマンシップ(匠の技)」だ。体の線を美しく見せるフィッティングも、細部の装飾へのこだわりも、職人の確かな技があってこそだ。

イタリアらしさ、進化しながら守る

最近はファッションからビューティー、家具などのホームコレクション、さらには居住空間でドルチェ&ガッバーナの世界観を体感できるマンションも提供する。「イタリアらしさという伝統を受け継ぎながら進化させていく。これをしっかり守っていくことが大切だと考えています」

藤原さんがラグジュアリー業界と縁を得たのは商社マン時代。勤め先の住友商事が、アメリカのブランド「コーチ(COACH)」と合弁し、コーチジャパンに出向した。

「日本にありながら、社長をはじめ同僚や部下までほとんどが外国人。それ以降、日本人の上司と仕事をした経験がありません」と話す。

コーチのグローバル本社(ニューヨーク)でも勤務。その経験から、「現在のように日本で働いていても、海外のグローバル本社がどういう動きをし、こちらをどう見て、何を求めているかが感覚的に分かるようになりました」と話す。

現在は、ドルチェ&ガッバーナの日本法人の代表として、「会社のカルチャーをどう作り上げていくか」に注力しているという。社員に繰り返し伝えるのは、「CPF」というキーワード。Cは「コミットメント(責任をもって関与)」。Pは「パッション(情熱)」。それに「ファン(楽しむこと)」のFを付け加える。

「プロとして仕事の結果を出すことと、そんな中でも楽しむということをどこまで意識できるか」が、仕事の要諦だとし、「自分自身が楽しんでいないと、ブランドのファンであるお客さまにも楽しんでいただけません」と語る。

社員とのコミュニケーションでもユーモアを交えることを心掛け、楽しめる社内イベントを定期的に開催。率先的なCFPの実践者でもある。

(聞き手 山本雅人)

ふじわら・そういちろう

昭和45年生まれ。住友商事、コーチジャパン、クロエジャパンCEOなどを経て、令和5年9月から現職。

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