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<朝晴れエッセー>かけがえのない御札

産経ニュース / 2024年12月25日 5時0分

令和6年1月、寒中見舞いが届いた。20年以上、年賀状のやり取りが続いていた友人からである。

そろそろ年賀状じまいを考えているのだろうか。友人にメールを送った。しばらくして、やっとメールが届いた。年賀状は書きたい気持ちはあるが、余裕がないという。残業、残業で、帰宅後は家のこと。就寝時間は午前2時、3時。家族のことや自身の体調不良もあって、と続く。涙腺が緩み、視界が曇っていった。

昔は全て手書きだった年賀状が、パソコンで簡単に作成できるようになった。同時に、ラインやメールで年始の挨拶も増えた。年賀状じまいは便利の代償なのだと思っていた。

本当は書きたいのに、時間にも心にも余裕がなくて年賀状が出せなくなる場合もあるということを知った。年賀状じまいは、紙の整理は可能だが、気持ちの方は大きな課題が溜(た)まっていくような気がしている。年賀状じまいを決断した人たちは、空いた時間を有意義に消化できるようになったのだろうか。

もしかしたら、年賀状はさまざまな豊かさの象徴だったのかもしれない。さらに、お互いのことを見守り続けることができる御札(おふだ)のような役割があったと思っている。

赤樫順子(50) 松山市

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