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<朝晴れエッセー>2色の大明神

産経ニュース / 2025年2月8日 5時0分

プロ野球のキャンプが始まった。私はファン78年目だ。

終戦3年後、初めて後楽園球場に行った当時、赤バットの川上哲治と青バットの大下弘両選手が2大ヒーローだった。無表情の安打製造機で打撃の神様ともいわれた赤は近づき難い感じで、優雅なホームランで笑顔が似合う青に断然魅せられ、大下選手写真入り弁当箱も買ってもらい、拝みながら食べた。1950年に2リーグに分かれた後は、大下さんの属したパ・リーグファンになった。

パ・リーグは長い間観衆が少なかった。東映フライヤーズが好きでよく駒沢野球場に通ったが、渋谷発球場行きバスが珍しくギューギュー詰めになると、息苦しくても子供心にうれしかった。そんな思いもしながらパ・リーグを応援してきたが、2001年大学教員に転じ、新しい大学で小さな軟式野球部をつくったとき、川上氏の親族がそこの職員だったので、おこがましくも氏に臨時コーチをお願いした。すると神様は実に気軽に来て懇切に指導してくれ、大感激した。

わが家の居間に飾ってあるツーショット写真の川上さんは無表情どころかニコニコ顔で、私は本当にうれしそうだ。「葬儀写真にはぜひこれを」と家族に頼んだ。人は会って初めてわかるもの。今私には赤、青2色の野球大明神が存在している。

山田寛(83) 千葉県習志野市

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