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<朝晴れエッセー>父母への感謝

産経ニュース / 2024年6月19日 5時0分

坂道を登るのが毎日だ。傘寿を祝った。これから越える山はたくさんある。生活は杖が頼り。

母からよく聴かされた。母の背中におんぶされてよく泣いた。一日が一月が一年が飢えていた。拾ったら口に入れてしまう赤子だったらしい。

真珠湾攻撃があって後の誕生だから飢えの中生き延びるのは赤子には困難、母や父は大変であっただろう。まわりからは絶望視されていた。

この時代父は判事をしてた。担当は経済事犯で闇取引の裁判をしていた。同僚の山口良忠判事が飢え亡くなったことは世間では有名だった。

起訴された側からは米俵、魚、野菜が家に届いた。父が帰宅すれば母は叱られて、家族の飢えの中、返しに雪の山道を下った。父は労咳(ろうがい)(結核)を患い、やがて倒れ退官となった。

晩年の父の齢になった自分。戦争の中の過酷の生涯を生きた父と母。父の厳格さから逃げていた自分にも夢の中で笑顔の父との再会もあった。

今、家族に何を残し、そして社会とどのように関わってゆくのか。まだ残されたものはたくさんあるが一つでも、小さくても遂げたい。

小さい想いを胸に置いて、日々の青空の広さと明るさをうれしく楽しむ私です。

吉住威典(81) 千葉県市川市

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