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古墳時代の権威の象徴「甲冑」特別展、橿考研博物館で ヤマト王権の支配体制反映

産経ニュース / 2024年10月21日 19時3分

今も金色の輝きをとどめる五條猫塚古墳の冑(手前)

古墳の代表的な副葬品で権威の象徴とされる「甲冑(かっちゅう)」をテーマにした秋季特別展が、奈良県橿原市畝傍町の県立橿原考古学研究所付属博物館で開かれている。藤ノ木古墳(同県斑鳩町)の国宝の挂甲(けいこう)、金色の輝きが残る五條猫塚古墳(同県五條市)の金銅装冑(かぶと)など関東や九州を含め約300点を展示。甲冑にこだわった本格的な展覧会は全国的にも珍しく、担当者は「甲冑の高度な技術やヤマト王権の支配体制について知ってもらえれば」と話す。12月1日まで。

甲冑は、弥生時代は木製だったが、古墳時代に大陸から鉄製がもたらされ、5世紀に一気に普及。奈良や大阪などの大型前方後円墳には多くの甲冑が副葬された。製造には大量の鉄が必要なため、ヤマト王権が一元的に生産して各地の勢力に配布したとされる。

特別展では、弥生時代後期の大福遺跡(同県桜井市、2世紀後半)の木製よろいとともに、鉄製では最古級とされる黒塚古墳(同県天理市、3世紀後半)の冑(かぶと)が並ぶ。小さな鉄板を革ひもで何百枚も綴(と)じ合わせた構造で、弥生から古墳時代への甲冑の変遷が分かる。

さらに、5世紀の黒姫山古墳(堺市)から出土したほぼ完全な状態の甲冑も展示。倭の五王が活躍した5世紀は朝鮮半島との軍事的緊張の高まりで、甲冑の生産技術が飛躍的に発展しており、同古墳からは国内最多の約50個の甲冑が出土した。

甲冑については、橿考研初代所長の末永雅雄氏(故人)が第一人者として知られ、長年の研究の歩みとともに、末永氏が手掛けた甲冑の復元品も展示している。

20日には専門家による「研究講座」が同研究所講堂で行われ、愛知県埋蔵文化財センターの樋上昇調査課長が木製よろいについて解説。「弥生時代のよろいは横幅などサイズにばらつきがあり、それぞれの体形に合わせて作ったオーダーメードだったのでは」と話した。奈良文化財研究所の川畑純主任研究員は「古墳時代前期の甲冑 その源流をアジアに辿(たど)る」と題して、シリアやウズベキスタン、中国や朝鮮半島の甲冑に関する壁画や出土品などを紹介し、中国との強い関連性を指摘した。

研究講座は11月10日、24日にも行われ、いずれも午後1時からで定員250人、無料で申し込み不要。甲冑の特別展は入館料が一般900円、高校・大学生450円、小中学生300円。祝日を除く月曜と11月5日は休館。問い合わせは同館(0744・24・1185)。

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