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「小説が壊れることを期待した」 芥川賞の安堂ホセさん一問一答

産経ニュース / 2025年1月15日 23時16分

『DTOPIA』で第172回芥川賞を受賞した安堂ホセさん(30)が15日夜、東京都内で記者会見に臨み、受賞の喜びを語った。主な一問一答は以下の通り。

--受賞された今の気持ちは

「うれしいです」

--「最も過剰かつテーマがてんこ盛り」という選評。この作品で目指した小説としての完成度とは何か

「1個のテーマで小説に対しての完成度とか、純文学だとよくあるんですけど、『それもうなんか良くない?』みたいな気持ちがあって。完成度とかは、いったん無視して書きたいというのが今回の挑戦だと思います」

--過去の作品よりも時間、空間的に広がりがあった。小説の可能性がどういうふうに広がったか

「わりとリアルタイムで起こったこととかを小説に入れる形を初めてとったんですけど、意外と何入れても小説って壊れないな、みたいな」

--発表作がすべて芥川賞にノミネートされての受賞。どう思うか

「(芥川賞は)文学を盛り上げるためにやっていると思うんですけど、自分の小説がその役に立てるならと思って原稿を渡していたので、もしこの作品で役に立てたならうれしいなって感じです」

--以前「文学というものを自分は期待されていない」という話もあったが

「文学じゃなくて文体。文体を期待されがちな人と、そもそも期待されない人がいて、(自分は)期待されていない人という話ですよね。まあ選評を読んでみます」

--選考委員が「まるでピストルを乱射しているみたいだ」と表現。どう思うか

「なんか物騒な小説ですね(笑)」

--今日はどのように待っていた

「皇居の前の広場で待っていて、その後、(会場の)下のタリーズに行って、バーに移ったところで連絡がありました」

--それは一人で?

「はい」

--編集者や知人と待つ方もいるが

「何回か候補にしていただいて、最初の頃は編集の人と待ってたんですけど、だんだん申し訳なくなってきて。結果が出たら集合みたいな感じです」

--受賞を伝えた方は

「いないです」

--デビューの頃から一貫してマイノリティーの人物が中心にいる作品。そういうものを書く思いは

「マイノリティーの人を書こうというよりも、小説で誰を出すか設定を決めていくときに、自分にとって近いものを決めていくって感じでしたね。それは一作目からそうだったと思います」

--これまでの小説にはなかったから自分が書く?

「一人でやれることだから、自分が楽しいと思うものを作るという感じでしたね」

--作中の主要人物がゲイの男性やミックスルーツのキャラクター。「作者はどうなのか」と質問されたときはどう答えるか

「なんか人を見て疑問を持つみたいな、疑問を持って必ず答えてもらえるみたいなのってよくないと思うんで。自分が言いたくないというよりは、答えるに値しない。っていうと偉そうですけど」

--映画製作の経験があると思うが、小説と映像の関係について考えていることは

「どうなんですかね。むしろ小説を書いているときは、映像について考えないかもしれないです。媒体がどうかというよりも、今自分ができる表現とか、与えてもらっている場所の器を目いっぱい使えたらいいなあ、というふうに考えて書いている感じですね」

--過去の作品には主人公の親が描かれていなかった。これまではあえて避けていたのか

「おっしゃる通りで、今まではあえて避けていて、今回初めて挑戦しました。それは作品の中の要請とかがあって、今回は書かざるを得ないと。これからも挑戦したいと思います」

--第一部と第二部で読み心地の違う物語。この構成にした狙いは

「さっきの話にもつながるんですけど、1個のテーマを目指して完成度を上げて作りましたみたいなのが結構飽きちゃっている。それを破壊したくて、小説が壊れるくらいのことを期待していたんだと思います」

--それでも小説としては壊れなかった。予想外のものは

「さすがに人に出すので、どこかで落としどころを作っていくんですけど。でも、壊そうと思っただけあって、今までよりも小説の中の世界が広がったと思います」

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