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<朝晴れエッセー>丸と四角

産経ニュース / 2024年12月26日 5時0分

今年も餅米を3キロ買った。

幼いころ年末30日の朝は、杵で餅をつく音で目が覚めた。早くに父を亡くしたわが家の餅つきは、長兄が杵を振り母が臼の餅を返していた。最初につきあがった餅は、あんころ餅にして家族皆で食べ、2臼目についた餅で鏡餅を取った。

3臼目からは、家族総出でつきあがった餅を手のひらにくるんで少し転がし丸めていった。楽しい家族総出の年末の行事であった。

その頃、子供向け漫画や絵本で見る餅は全て四角で、火鉢の上の焼き網に乗せられた餅は四角であった。どうすればあのように四角く手で作ることができるのであろうか…? ということが長い間の疑問であった。

その謎が解けたのは、関東圏に住む夫との出会いであった。義父は毎年暮れ近くになると、定規で測って切りそろえたのかと思うような美しい四角形の餅をたくさん送ってくれた。餅は手で四角にするのではなく、平らに広げ少し冷えた頃に切りそろえるのだと知った。

義父母も遠い人となってしまい、今は私が下手ながら毎年末、機械で餅をつき平らに広げ、程よく冷えた頃、夫が四角く切ってくれる。義父のように上手な杵つき餅には程遠いが、今年も離れて住む子供や孫たちに送る。

加藤八重子(77) 長野県松本市

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