最優先課題は「核の不使用」維持 廃絶実現なお遠く ノーベル平和賞
産経ニュース / 2024年10月12日 21時28分
核廃絶を掲げる日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞が決まった11日、複数の有力な国際非政府組織が日本政府に核兵器禁止条約(核禁条約)加盟を求めた。ただノーベル賞委員会が強調した授賞理由は、核の現実的な脅威が高まる中、核使用は道徳的に許されないという規範意識「核のタブー」の確立に被団協が果たした功績にある。一気に核廃絶を目指せる国際情勢にはないのが現状だ。
日本の核禁条約加盟を求めたのは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ。特に核禁条約成立への貢献を理由に2017年の平和賞を受賞したICANは、事務局長声明で、同条約成立を目指し被団協と連携した経過を強調し、核廃絶を求める声に「直ちに耳を傾けるべきだ」と訴えた。
日本政府は核禁条約を「核なき世界の出口ともいえる重要な条約」と認める。だが、ウクライナ戦争で核の威嚇を振りかざすロシアや、核戦力の増強に突き進む中国、核ミサイル開発を進める北朝鮮に囲まれた険しい安全保障環境にある。中露や北朝鮮が加盟に見向きもせず、検証措置を欠く核禁条約への署名・批准を検討する余地はない。
核の脅威は中東でも増す。イスラエルの閣僚からはパレスチナ自治区ガザへの核使用も選択肢とする発言が出た。イランの核開発を防ぐ交渉の環境も厳しくなっている。
国連の中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)は11日に記者会見し、核保有国の指導者の「計算違いや誤解が核使用につながる潜在的リスクは今、許容できないほど高い」と強い危機感を示した。
国際社会の最優先課題は、広島・長崎を最後に79年間続いた「核の不使用」を維持する外交努力を駆使することだ。最終目標としての核廃絶の実現は、核使用のリスクを取り除き、核軍縮交渉を再び軌道に載せた先にある。(ニューヨーク支局長 平田雄介)
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