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<朝晴れエッセー>老主婦の日々

産経ニュース / 2024年9月15日 5時0分

八十間近な老主婦の日々は忙しい。

夫と二人分の洗濯、手料理といえるのは一品で、あとは冷やしトマトなど素材で勝負。コードレスのサッサ掃除、大したことはしていないのに、なぜか忙しい。

最近、その理由が分かった。老いである。ひとつのことを済ませるのに、時間がかかり、すぐに疲れてしまう。

忙しい理由のもう一つは、夢と希望は減らないことだ。むしろ老いとともに、増えている気がする。

少し曲がった腰は筋力を鍛えて直す、もの書きに励む、元小児科医としてささやかに子供たちに何かをやり続ける、夫の絵の展覧会を開く、白髪染めをやめる代わりに、おしゃれになる、などなどだ。

しかし、年を重ねるほど時間は走りどんどん過ぎてゆく。日々の体操やウオーキングにもかかわらず、筋力の衰えは加速している。

だが、百歳で亡くなった母の年まで、まだ20年少しある。夢をかなえるのに、悠々足りるようにも思う。

そういえば、開高健氏が「悠々として急げ」と言っていた。体を大切に鍛え、心を澄まし、老いを楽しんで過ごしたいものだ。

弘岡順子(79) 東京都目黒区

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