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<朝晴れエッセー>赤瓦の町で

産経ニュース / 2024年7月6日 5時0分

赤瓦の屋根を陽光が渡っていく。

島根の石州赤瓦。家並みが赤くなるともうそこは故郷だ。ゴールデンウイークなら可能、との息子たちの言葉に、通常の3倍以上の料金のホテルを予約し、法事の段取りをした。

亡父の十三回忌が新型コロナで延び延びになっていた。亡き父母が毎晩のように夢枕に立つ。それがやっと、実家を掃除して、法事ができるのだ。

私が高校生の頃には颯爽とした青年だったご住職は眉毛に白い物が交じり、小僧さんだった若は立派なお寺さんになっている。

正座がつらそうないとこの「~しとっちゃるが」「~だけんね」に胸がほかほかする。

「子供は熊用の鈴をランドセルにつけて通っとるんですわ」。この辺りでも熊が出るのか、と思っていると、お寺には猿の群れがすみつき国道も横断する、と話は続く。

私の生まれ故郷は人間よりも猿や狸といった動物の方が多くなるのでは、そんな懸念さえ抱いてしまう。

お寺の檀家も今は7軒のみ。じきに近くの寺に吸収される、とも聞いた。

県外で暮らす私が言うもおこがましいが、人口減、とりわけ少子化は何とかならぬものか、故郷が限界集落にならぬことを切に願う。

永濱美智子(63) 京都府宇治市

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