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<朝晴れエッセー>ウクレレという相棒

産経ニュース / 2024年11月15日 5時0分

定年退職後もアウトドアレジャーなどでそれなりに楽しんできたが、突然のコロナ禍で全く動きが取れなくなってしまった。

なにか自宅での楽しみが見つかればと入ったリサイクル店で、数千円の古いウクレレが目についた。若い頃、あっという間に挫折したギターのことが脳裏にチラついたが、これは弦が4本だから大丈夫だろうと安易に考え衝動買い。

早速弾き始め、同年代の仲間たちを誘ったが予想どおり、もう年だからとか今更などの理由で全く興味を示さなかった。

一人でやろうと決めて簡単コードに変換した弾き語り本を買い、そこに書いてあった「音楽は自分でやると更に楽しい」の言葉につられ、何冊も手に入れてしまった。

その後、弦の付け根のブリッジやネックが次々に本体から剥離して、その都度強力接着剤を使い自分で直しながら弾き続け、初心者なりに歌謡曲や演歌、フォークの弾き語りができるようになったつもりだったが、歌詞とコードの記載された本や紙がないと一曲も弾けないことに気が付いた。

内心では年齢のせいで記憶力が衰えていると認めつつ、少し弾けるようになると次々と新しい曲に取り掛かってしまうのが原因だと勝手に解釈。

他人に披露することもない個人的な趣味だから、目の前にある満身創痍の相棒とともにこれからも自己流で細く長く続けていこうと決めた。

青木克己(73) 静岡県伊東市

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