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大河ドラマ「光る君へ」で登場の漢詩に集まる注目 10月26日に横浜で全日本漢詩大会

産経ニュース / 2024年9月9日 18時41分

35人が参加した今年度の漢詩入門講座の様子(神奈川県漢詩連盟提供)

紫式部を主人公にした大河ドラマ「光る君へ」で、主人公らが詠む場面がたびたび登場する「漢詩」に注目が集まっている。漢詩は3000年以上の歴史があるとされ、このうち一定の規則がある近代詩には、クロスワードパズルを完成させるような面白みがあるという。10月には横浜市内で全国大会が開催される。漢詩の魅力を探った。

「技術的な要素も」

漢詩は6、7世紀ごろに中国から国内に伝わり、平安時代には貴族の間で盛んになった。1つの句の字数などが自由な古代詩と、一定の規則がある近代詩があり、近代詩は7~10世紀の中国・唐の時代に確立された。唐時代には、李白や杜甫、王維、白居易ら多くの有名な詩人が生まれ、1つの句が7字からなる七言詩もできた。

神奈川県漢詩連盟によると、県内の会員数は約230人で、全国屈指の規模だ。毎年4~5月に漢詩入門講座を開き、今年度は35人が受講。このうち24人が連盟に入会して漢詩作りを継続している。同連盟副会長の新井治仁さん(78)は「漢詩は季節や旅、自然、日常生活など、あらゆることが題材になり、(決められた字数の)枠の中で広がる世界です。クロスワードパズルみたいな感じで技術的な要素も強い」と話す。

漢詩はどうやってつくるのか。新井さんによると、漢詩の最も一般的な形式で、4句からなる近代詩「七言絶句」の場合、計28字を「押韻(おういん)」や「平仄(ひょうそく)」などの規則に従って配置。和歌や俳句の五・七・五のように、1句は「2字」「2字」「3字」で構成し、4句は起承転結の形をとる。

押韻は、詩の中で一定の音の漢字を決まった位置に繰り返して用い、音調を整えることで、七言絶句では1、2、4句で韻を踏む必要がある。また漢字を発声する際、平板な発声を「平」、上がり下がりの多い発声を「仄」といい、ここにもルールがある。

例えば、1つの句の2字目と4字目は平と仄を別々のものにする「二四不同」や、逆に2字目と6字目は、平か仄のいずれかに揃える「二六対」という規則がある。このほか、28字の中に同じ字が出てはいけない「同字重出の禁」などの禁止事項も定めている。

「光る君へ」の影響で女性も関心

10月26日に「はまぎんホールヴィアマーレ」(横浜市西区)で令和6年度全日本漢詩大会神奈川大会が開催されるが、作品を寄せた350人のうち、70、80歳代は計209人で、最高齢者は97歳。また男性が210人、女性が140人で、愛好者は男性の高齢者が多い。

ただ、「光る君へ」の影響もあって、年齢、性別を問わず関心を寄せる人が少なくないという。県漢詩連盟執行理事の牛山知彦さん(66)は「大河ドラマを見て、漢詩の素養が当たり前で、昔の女性がこんなに勉強していたんだと感心して、漢詩を習いたいという女性の方が増えた」と語る。今年度の入門講座では男性17人、女性18人と女性が初めて男性を上回った。

漢詩づくりは詩吟や書道をしていた人が多いが、「男性では10人いたら6~7人ぐらいは理系の人」(新井さん)という。「さまざまな題材をルールに従って論理的に組み立てていくやり方が理系の人にあっているのではないか」と新井さんはみる。

漢詩を学ぶ効果について、牛山さんは「書道をする時、漢詩を学ぶまでは内容を分からないまま、見栄えだけで書いていたが、考え方が変わった」と指摘。新井さんは「漢詩は老後最後の趣味だという人もいます。大量定年時代で、時間の空いたときにじっくり(漢詩を)考えてみるのもいいのでは」と話している。

神奈川大会では、箱根や湘南、鎌倉、葉山などのことを詠んだ漢詩を紹介する「神奈川を詠う」も実施。夏目漱石が箱根を詠んだ詩や、県漢詩連盟元会長の岡崎満義さんが、箱根駅伝の走者が駆け抜けて近くの海でサーファーが波乗りを楽しむ湘南の正月を詠んだ詩などが披露される。(大谷卓)

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