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<朝晴れエッセー>夫が100歳になった

産経ニュース / 2024年6月22日 5時0分

朝8時、痛む膝を気にしながら起き上がり、私の自由な至福の時間が始まる。が、それもつかの間、正午になると夫を起こしに2階へ。痛い痛いと言いながら階段を下りる夫を下で見守り、それからが夫の食事と薬の時間である。

外出は不可能で耳も遠い。しかし新聞はなぜか眼鏡がなくても読んでいる。テレビを見ながら甘い物に舌鼓を打ち、居眠りをして夜の10時、夫の長い一日が終わる。

夫も5月、100歳となり、縁ある人たちを招いて「百寿感謝の会」を開いた。その1年前、師と仰ぐ方から「今まで書きためた原稿を本にしたら」と勧められ、娘夫婦の協力で「令和で百歳を歩む私」と題して上梓(じょうし)、二重の喜びの100歳となった。

夫は10代で両親と死別、14歳で知人を頼って上京、会社勤めをしながら夜間中学、大学に学び、戦争で中国に出征、九死に一生の経験もしている。親代わりとなって弟二人の面倒を見たり、家庭を持ってからも自分のことは二の次に、家族を大切にした。「お父さんの一生は尽くし人生だったね」と娘たちは言う。その夫も今は、行政や周りの人々の支えで家で暮らせる幸せに、感謝している。今月、市長さんがお祝いに来てくださり、よろこびいっぱいの、幸せな100歳となった。

多々良節子(91) 東京都東村山市

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