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<朝晴れエッセー>日記の醍醐味

産経ニュース / 2024年12月10日 5時0分

来年の日記帳を買ってきた。日記を書くといっても、今はパソコンやスマホを利用している人も多いと思う。でも私はお気に入りの日記帳に、万年筆と好きな色のインクで手書きすることにこだわっている。

紙面を滑るペン先の感触は、ちょっとした快感だ。不確かな言葉や文字が思い浮かんだら、手間を惜しまず辞書をひく。読み返して意味のわからないことは書きたくない。

長年日記を書いてきたので、過去の日記をよく読み返す。30年前の出来事がよみがえって、そのときの自分に出会えるのだから、何にも代えがたい私の宝物だ。

それで知ったのが、日記にはさまざまな人物を登場させるといいということだ。その人物の特徴や年齢など、小説を書くように描写しておくと読み返すときに役立つ。私は若い頃に転職を繰り返していたから、職場で出会った人は少なくない。名前は書いてあるけど、顔や姿が思い出せないのは残念だ。

人生とは記憶ではないかと、日記を読み返すと実感する。不思議と脳には過去の出来事が記憶されていて、それを思い出させるきっかけになるのが、日記なのだ。日記の醍醐味(だいごみ)は、読み返すことにあると私は思う。

仲川友康(62) 東京都杉並区

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