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「韓国でも別格」現代に生きる女性の感性を丁寧に描く詩人 ノーベル文学賞の韓江さん

産経ニュース / 2024年10月11日 7時30分

ノーベル文学賞を受賞した韓江さんの著作を手に取る客=10日午後、大阪市北区の紀伊国屋書店梅田本店(渡辺大樹撮影)

今年のノーベル文学賞に韓国の女性作家、韓江(ハンガン)さん(53)が決まった。1948~54年に南部の済州島で軍などが島民を虐殺した「4・3事件」を題材とした作品のほか、現代社会を生きる女性を丁寧に描く作風は世界的な評価も高い。「韓国でも別格」と評される作家が、アジア人女性として初の同賞を手にする。

「いつかはノーベル文学賞を取ると思っていたが、こんなに早く、若く受賞が決まるとは」。そう驚いたのは、書評家で京都芸術大准教授の江南亜美子さん。ただ、その作風について「極めて繊細かつ高潔、ノーブルな作風。韓国でも別格の作家。詩人でもあり、詩と小説を高いレベルで行き来している」と語る。

江南さんが「彼女にしか書けない作品」として挙げたのが、2016年に英ブッカー国際賞を受賞した「菜食主義者」だ。理由を明かさないまま一切の肉食を絶ち、社会から逃避するように自ら植物になろうとする女性の姿を描いた。

文芸評論家の川村湊さんは「韓国の現代社会を生きる女性の感性を丁寧に描く」と評し、「韓国の現代文学の最先端にいる。近年、隔年で女性作家がノーベル文学賞を受けていることから、女性の受賞者がまだ出ていないアジア圏で韓さんが近々射止めるのではないかと注目してきた」と話す。

川村さんは10年ほど前に、故・中上健次さんが立ち上げた市民講座「熊野大学」の夏期特別セミナーで、韓さんと会ったことがある。韓さんの父親も韓国の著名な作家で中上さんと親交が深く、ゲストとして韓さんが招かれた。川村さんは「日本の現代文学をはじめ、日本の文化への理解も深い様子だった」と振り返る。

韓さんの受賞決定を受け、大阪市北区の紀伊国屋書店梅田本店では10日夜、在庫のあった5作品約10冊が急遽(きゅうきょ)レジ前の棚に並べられ、「祝ノーベル文学賞2024」とポップが添えられた。

同店によると、日本ではK―POP人気もあって韓国文学にも注目が集まっているといい、文芸書担当の小泉真規子さん(47)は「和訳されている作品を11日に発注し、仕入れて展開したい」。海外文学はハードルが高いと思われがちだといい、「ノーベル文学賞に決まったことで、そのハードルが下がってくれれば」との期待を込めた。(山上直子、横山由紀子、前原彩希)

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