＜朝晴れエッセー＞人生の転機

３年前に約４０年間のサラリーマン生活を終えた。この間は度重なる転勤や過度な時間外労働は当たり前で家族には多大な負担をかけてきた。定年退職したときには「これで全てから解放される」とつくづく思った。

縁あってシルバー人材センターの機械草刈りの仕事をすることになった。サラリーマン時代の仕事とは全く異なり屋外での肉体労働。この仕事を始めてからは食欲が旺盛で食べる量が増えたのに体重は減少、腰痛や膝の痛みが軽減、血圧が下がり、夜は熟睡するようになった。心身ともに健康な体になってきたという実感がある。

この仕事をしていると地元のいろいろな場所を知ることができ地域愛が生まれる。一緒に仕事をしている年配の先輩方が頑張っておられる姿には「私もまだまだやれる」と勇気付けられる。

また、通学する子供たちと挨拶をかわし、地域の方に「きれいにしていただいてありがとう」と声を掛けられるとこの仕事に大きな誇りを感じる。

妻には「これからは二人でゆっくりと旅行にでも行けると思っていたのに」と愚痴を言われるが、私はこの仕事が楽しくて仕方ない。この仕事に巡り合えたことは私の人生の大きな転機だと思っている。

水長一彦（６７）　京都府長岡京市