鎌倉時代の「はと笛」初公開縄文から室町時代まで網羅「橿原・曲川遺跡」企画展
産経ニュース / 2024年7月28日 7時30分
3千年前の縄文時代晩期から室町時代まで二千数百年間にわたる集落跡などが見つかった奈良県橿原市曲川(まがりかわ)町一帯の「曲川遺跡」をテーマにした夏季企画展が、同市川西町の「歴史に憩う橿原市博物館」で開かれている。縄文時代の土偶や古墳時代の家形埴輪(はにわ)など約90点を展示。鎌倉時代の玩具「はと笛」は初公開で、バラエティーに富んだ遺物から、時代を超えた人々の暮らしぶりがうかがえる。10月27日まで。
同遺跡は戦後まもなく、国道整備に伴う土砂の採掘工事に伴って土器などが発見され注目を集めた。その後、京奈和自動車道や大型ショッピングセンター建設などに伴って発掘され、南北900メートル、東西800メートルにわたる大規模な遺跡であることが分かった。
縄文時代は土偶や石器のほか、東北や瀬戸内地方の土器が見つかり、幅広い交流を裏付けた。古墳時代中期(5世紀)には一辺十数メートルの小規模な古墳が次々と築かれ、埴輪などが出土。祭祀(さいし)に使われたとみられる大型の甕(かめ)(高さ、直径とも70~80センチ)も見つかり、今回の企画展のためにスタッフが破片を接合して復元し、1600年前の堂々とした姿がよみがえった。
曲川遺跡では、鎌倉時代の神社跡とみられる建物跡も見つかり、写真パネルや土器を展示し、当時の庶民信仰の様子が分かる。同時代の約800年前のはと笛(長さ6・5センチ)は、くちばしや羽などが愛らしく表現され、現代のおもちゃと同じような形をしている。吹き口も残っており、実際に少し口を近づけて吹いてみると「ピーッ」と高い音が響いたという。
担当の杉山真由美・文化財保存活用課主査は「集落や古墳、神社跡など、時代によってさまざまな姿をみせる遺跡の奥深さを感じてもらえれば」と話す。休館日は毎週月曜(月曜が祝日の場合は翌平日)。大人300円、高校・大学生200円、小中学生100円。問い合わせは同館(0744・27・9681)。
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