東京・荏原 畠山美術館で「琳派から近代洋画へ」 開館記念展第二弾、新館での展示も注目
産経ニュース / 2025年1月31日 14時39分
東京・白金台の荏原 畠山美術館で、「開館記念展Ⅱ『琳派から近代洋画へ―数寄者と芸術パトロン 即翁、酒井億尋』」(前期:~2月16日、後期:2月19日~3月16日)が開催中だ。
開館60年の節目を迎える同館は昨年11月に大規模改修工事を経てリニューアル。3回にわたり開館記念展を開催する。第二弾となる今回は、琳派の名品が勢ぞろい。また、同館の創立者かつ荏原製作所の創業者・畠山一清(即翁)の甥、酒井億尋のコレクションも紹介する。
国内では数少ない自然光を取り入れた設計の本館。リニューアルに伴い、もともとの展示室をいかしながらも、バリアフリーやケースのスリム化など、さらに見やすくする工夫をしている。
光悦×宗達の名品を堪能
注目は、新館に展示されている本阿弥光悦書、俵屋宗達下絵の重要文化財「金銀泥四季草花下絵古今集和歌巻」( 江戸時代、前期のみの展示)。展示ケースには極度に透明度の高いガラスを才雄洋しており、映り込みを極端に排除して作品に集中できる。3面あるガラスケースを一面に使用して、9mある和歌巻の全巻が見えるように展示している。
同館の水田至摩子学芸課長は「和歌巻は光悦と宗達のコラボ、もしくはセッションであり、竹に始まり、梅、つつじ、蔦と場面展開がある。京都国立博物館に所蔵されている和歌巻と同様に宗達の初期の作品と言われている。いままでは3期に分けて展示していたので、全貌をご覧いただけることが特徴。本館では琳派の作品のなかで、自然光を尊重した展示空間で、乾山焼の焼き物中心に畠山ならではの琳派の茶道具をご覧いただける」と解説する。
また、尾形光琳筆の重要美術品「白梅模様小袖貼付屏風」や酒井抱一筆の「風神雷神図」などの名品も登場。琳派がどのように評価され、受容されていったかを見て取ることができる。
〝最後の実業系数寄者〟
同館の岡部昌幸館長は「当館は国宝6点、重要文化財33点、合計1300点以上の作品を60年前から所蔵している。この素晴らしいコレクションを、いかに新しい視点を与え、コンセプトやテーマを上乗せして見直すのが我々の仕事。今回は旧蔵者に光を当てて、特に数寄者、畠山一清を最後の近代の実業系数寄者としている。数寄者と作品収蔵という視点を琳派の作品から見直すことができる」と話した。
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