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<朝晴れエッセー>二人三脚

産経ニュース / 2024年12月29日 5時0分

小学生の頃、私は走るのが苦手で運動会はいつもビリ。かけっこは次の組の先頭に追いつかれる始末。毎年運動会の夜は父に言われた。「人生は長い。マイペースで走れ」と。父なりの励ましの言葉だったのだろう。

還暦、古希、喜寿と人生の節目を過ぎた私の人生は障害物競走のようだった。還暦までは家庭を顧みることなく仕事に没頭。休みなく働いた。時折見せる妻の寂しい表情を理解してやれなかったこと。申し訳なかったと後悔している。

古希になってからは時々妻と散歩。草花の写真を撮るのが楽しみだ。妻が草花の名前に詳しいことに驚く。私が仕事で忙しい頃、妻は野草の会に入り山野を散策していたらしい。今では四季折々の草花の名前を私に教えてくれる先生だ。

「いずれこうなると思ってたわよ」という顔をしている。まったく頭が上がらない。

傘寿を迎える私の人生もいよいよ第4コーナーを回る。同期の中ではまだ元気に最後の方だが走っている。先にゴールした友の分までまだ走ろう。米寿の節目が待っている。

これからは二人三脚だ。

竹之下和幸(79) 千葉県我孫子市

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