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<朝晴れエッセー>しっぽのついた蛙たち

産経ニュース / 2024年7月19日 5時0分

田植えからちょうど1カ月。田の畦(あぜ)を歩くとたくさんの小さな蛙(かえる)が叢(くさむら)から飛び出し、一斉に田に戻ろうとする。その一匹一匹をよく見ると、まだしっぽが残った状態なのがいる。オタマジャクシから蛙になる途上なのだろう。彼らは田に戻ると安心するのか、仲間と肩を並べじっとしている。

そんな蛙たちに、この時期大きな危険が迫っている。夏の太陽を浴び、畦の草は伸び放題だ。そこで草刈り機の登場。しっぽの残った蛙は草刈り機に出くわすのも初めてだ。叢に潜んでいると突如聞こえてくる大きな機械音、何やら丸いものが回転して草を切り倒しているらしい。急いで逃げようとするが、さほど遠くへはジャンプできない。何とか田の中へ逃げ込もうと必死だ。

一方、こちらもゆっくり機械を操作し、「どうか刃に当たりませんように…」と念じるばかりだ。刈り終えた後、白い腹をみせてあおむいているのを目の当たりにするのはつらいものだ。

この1カ月で早苗は緑の株に成長した。蛙たちもやがて成長する。そして、草刈り機の音に素早く反応し、逃げる術を身につけるのだ。しかし、この時期はしっぽのついた蛙たちには受難の季節だ。

内本義宜(63) 大阪府高槻市

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