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<モーロクらんらん>(90)大根談議

産経ニュース / 2025年1月17日 7時0分

Aさんが言った。「うまいなあ、大根。大根は冬野菜の代表だね」

ボクは応じた。「冬野菜という言い方、現代的だよ。食生活で野菜が重視されるようになり、それにともなって野菜の品種が豊富になった。料理法なども多彩になった。近年のその結果が冬野菜、春野菜という言い方になった気がする。冬野菜や夏野菜はまだ国語辞典にないと思うよ」

「たしかに。『広辞苑』などにはまだない。ネット上の辞典『デジタル大辞泉』にはあるけどね。冬に成熟する野菜で、タマネギ、ニンジン、ダイコン、キャベツ、ハクサイ、ホウレンソウなどと。冬野菜は新しい語なんだね」

Aさんは大根という語についてあれこれ調べていた。一番大きい大根は鹿児島の桜島大根、30キロを超えるものもある。長いのは大阪の守口大根で2メートルにもなる。京野菜の聖護院大根も大きく、見かけはカブに似ている。日本の大根は白いが、世界には黒や赤色の大根もある、など。

というわけで、おでんの大根を食べながらボクらの大根談議ははずんだ。以下もその続きである。

小林一茶に「大根を丸ごとかじる爺(じじい)かな」という句がある。この大根、生(なま)の大根だろうか。あるいは、丸ごと煮た大根? 多分、前者だろう。畑から抜いて洗ったばかりの瑞々(みずみず)しい大根、その大根はとってもうまそうだったのだ。

でも、刺し身のツマ、サラダの大根はうまいが、丸ごとの生大根がはたして美味か。それに、爺だと歯がなくて大根がかじれないのでは、とボクは疑念を呈した。老爺の一茶が歯抜けだったことをボクは知っている。Aさんは笑いながら、「明日のねんてんかもよ」と言った。(俳人、市立伊丹ミュージアム名誉館長)

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