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<朝晴れエッセー>この秋に想う

産経ニュース / 2024年9月21日 5時0分

もの心ついた頃、お米(ごはん)を粗末にすると、「目がつぶれる」とその当時、よく言われて育った。

意味もわからずであったが、小学生のあるとき、牛小屋から牛を棚田へ連れて行き、鼻にひもをかけ、母がそれを引っぱり、父が牛を追いながら唐鋤(からすき)で田を耕している光景を目にした。その後、水田を作って耕作し、腰をかがめながらの田植え…、秋の収穫となる。

現在のような効率のよい機械もなく、早朝から夕ぐれまで、手作業中心の米作り。

やがて新米が! 家族全員で食卓を囲む。

お米、一粒一粒に感謝し「物を粗末にできない」「しない」ということが自然と教訓となった。

母は今年4月、周囲に「ありがとう」と言いながら102歳で天国へと旅立った。8月は初盆だった。

小さな田舎町の小さな農家。稲作、少しの柑橘(かんきつ)、夏は山椒(さんしょう)採り、冬の農閑期、寒い夜、火ばちで手を温めながらの内職。

一生懸命に働き「物の大切さ」を十二分に教えてくれた。

受け継いだ「もったいない」の気持ちを、忘れることなく米の一粒、野菜のかけらまでも無駄にせず工夫したい…。

母の面影を、かみしめながら。

寺中定子(73) 和歌山県紀美野町

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