＜朝晴れエッセー＞デイサービスへいらっしゃい

近所の高齢者施設の「職員募集」が気になり、日を追うごとに大きくなる「急募」の字に心を痛めていた。「資格経験問わず、あなたの手を貸してください」の文言と母の入所施設でもスタッフが不足し、毎日忙しく動き回る職員の姿を思い出し、何か役に立てればと急募の字に背中を押され決心し施設で勤務することになった。

デイサービスの仕事は、利用者の方が安全で健康に楽しく過ごすことであり、スタッフは絶えず笑顔で自分の親以上の優しさで接している。

短い時間の中で体操・手遊び・昼食・仮眠・風呂・音楽活動など日替わり行事もあり、利用者の皆さんはスタッフの精いっぱいの愛情に包まれ過ごしている。

「もうすぐ100歳になるの、しらんけど」という94歳のMさん、「あの世で主人が待ってるのかしら?　今度は違う人がいいな」というYさん、排泄（はいせつ）介助の際に「ごめんなさいね。下半身が十二単で」と笑うTさん。

女子トークにも花が咲き、童謡・唱歌を流せば歌詞がすんなり出てきて大合唱の楽しいひと時。帰り際「いつも手を取ってくれてありがとう」という利用者の方の後ろ姿を見送りながら、明日はどんな話ができるか楽しみでしょうがない毎日である。

増田信子（63）　東京都調布市