1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

乳がん全摘、リンパ節に微小転移 術後の放射線治療は不要 がん電話相談から

産経ニュース / 2024年8月6日 9時0分

がん研有明病院の院長補佐で乳腺内科部長の高野利実医師

今回は、50代女性から、乳がんの手術後の治療についての相談です。がん研有明病院院長補佐で乳腺内科部長の高野利実医師が答えます。

──昨年12月、左乳がんと診断され、今年4月に左乳房全摘術と(がんに近いリンパ節を摘出、転移を調べる)センチネルリンパ節生検を受けました。乳房の腫瘍は大きさ5ミリの浸潤性微小乳頭がんで、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、(増殖の活発さを示す)Ki67は10%と低い値でした。1個のリンパ節に2ミリ以下の微小転移が見つかりましたが、リンパ節郭清はしていません。(再発リスクを判定する遺伝子検査)オンコタイプDXのスコアは11と低い値でした。

「術後の治療は?」

──ホルモン療法として、アロマターゼ阻害薬のアナストロゾールを服用しています。

「リンパ節に微小転移があったものの、閉経後でオンコタイプDXスコアも低かったので、化学療法は不要で、術後薬物療法はホルモン療法のみで十分です。微小乳頭がんというのは、特殊型の一つですが、治療方針は、普通の浸潤性乳管がんと同様に考えます」

──微小乳頭がんは予後が悪いのですか。

「リンパ節転移やリンパ管侵襲が多いという報告はありますが、同じリスク因子であれば予後は浸潤性乳管がんと変わらないとされています。相談者の腫瘍は穏やかな印象ですので微小乳頭がんだからと気にする必要はないと思います」

──乳房は全摘しましたが、術後の胸壁や、わきの下の放射線治療を行うべきか迷っています。

「担当医はどのように言っていますか」

──必須ではないが希望があればやってもいいという説明でした。私は微小乳頭がんだというのと、わきの下に微小転移がありながらリンパ節郭清をしていないのが気になっています。

「微小乳頭がんだから放射線治療が必要ということはありません。日本乳癌(がん)学会のガイドラインでは、全摘術後の放射線治療について、リンパ節転移4個以上の場合には推奨し、リンパ節転移1~3個では行うことを検討する、としています。がん研有明病院では、リンパ節転移1~3個であってもリンパ管侵襲が高度である場合や乳房のしこりが大きい場合などを除き、放射線治療はしないことが多く、相談者の場合、リンパ節は微小転移が1個で、しこりもわずか5ミリですので、胸壁への放射線治療は不要と思います。リンパ節転移が微小転移で、リンパ節郭清が省略された場合のリンパ節領域への放射線治療についても、ガイドラインでは『勧められない』となっており、不要です」

──リンパ節転移が出てきたら再び手術するということですか。

「わきの下のリンパ節に再発し、手術可能であれば、根治を目指して郭清することになります。ただ、再発のリスクはあまり高くないので、気にしすぎないのがよいと思います。ホルモン療法の薬をきちんと服用しながら、やるべきことはやったと思って過ごすのがよいでしょう」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。12~15日は電話相談を休みます。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください