関節の腫れや痛みに要注意 治らなけば何度でも受診を 健康カフェ(281)
産経ニュース / 2025年1月9日 9時10分
関節の腫れと痛みに悩まされている80代半ばの女性がクリニックにやってきました。関節に痛みや腫れが出て、なかなかよくならない場合は整形外科を受診する人が多いと思います。内科を受診する患者さんはさほど多くないです。それでも、この女性は「内科で相談したい」というので、診察を引き受けました。
女性によると、1カ月ほど前から左手が腫れて痛みだしたので、まず、整形外科を受診したそうです。X線検査などで骨に異常は見られず、湿布を処方されて「経過を見るように」と言われましたが、その後も腫れと痛みはなかなか治りません。このため、複数の整形外科を受診してみたのですが、やはり「様子を見るように」と言われたそうです。
その後は右足首にも腫れと痛みの症状が出てきたので、私のクリニックを訪れました。診察してみると、確かに左手も右足も腫れています。他の症状を聞いてみると「5年ほど前から目が乾燥するので眼科に通院し、口の乾きと手のこわばりもある」といいます。
そこで、これまでは受けていなかったという血液検査をしました。その結果、涙腺や唾液腺を「敵」と認識して攻撃する自己免疫の病気「シェーグレン症候群」に特徴的な抗体が陽性だと分かりました。自己免疫疾患の一つ「関節リウマチ」を合併している可能性も示されました。この女性には、病名を伝えて、専門医へ紹介することにしました。
シェーグレン症候群では症状が軽くて気付かないケースや、診断されても治療を要しないケースがあります。ただし、目の乾燥や口の渇きを訴えたり、目や口の不快感を強く感じる人がいます。
関節リウマチや膠原(こうげん)病などを併発するケースもあります。目や口の症状のほかに関節痛や息切れ、倦怠感(けんたいかん)などの症状が出る可能性もあり、そのような症状が出てきた場合は、専門医に治療してもらいましょう。
この女性は、腫れや痛みの症状の原因となる病名が分かり、少し安心したようです。
症状の出始めに病名が分からなくても、時間の経過とともに手掛かりが増えるため、診断しやすくなるケースもあります。診察時に医師から「大丈夫」と言われても、生活に支障をきたすような症状がいつまでも治らないときは、もう一度、受診してみるとよいでしょう。(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)
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