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S状結腸がん手術後の化学療法 倦怠感が強いので休薬したい がん電話相談から

産経ニュース / 2024年10月1日 9時0分

篠崎英司医師

今回の「がん電話相談」は、大腸がんの一種であるS状結腸がんの術後治療に悩む60代女性に、がん研有明病院の消化器化学療法科副部長、篠崎英司医師が答えます。

--令和4年10月、下血して受診し、内視鏡検査でS状結腸にがんが見つかり腹腔鏡でS状結腸を切除しました。肺と腹部にリンパ節転移がありました。

「S状結腸の腫瘍は手術で全部取れたということですね。術後の補助化学療法は何で行いましたか?」

--分からないです。

「経口剤と点滴の併用とのことで、恐らくゼローダ(一般名カペシタビン)、エルプラット(オキサリプラチン)の抗がん剤併用によるゼロックス療法だったのではないでしょうか」

――ただ体調が悪くなり1カ月で中止。5年1月に再発が判明しました。

「再発後は比較的副作用が弱いとされる抗がん剤のUFT(テガフール・ウラシル)で治療を始めたんですね」

--そうです。UFTとユーゼル(ホリナートカルシウム)の併用治療を始めたところ、腎機能が低下し血液中のカリウムの数値が上がり、動悸(どうき)も起きたので5カ月で投与をやめました。この時点で、CT検査で肺と腹部の転移は消えていましたが、2カ月後のCT検査で左右の肺、肝臓、腹膜、結腸の切除部に転移が分かりました。

「がんの数が増え、その後は、ちょっと強めの治療になったのですね」

--はい。昨年11月からは血管新生阻害薬アバスチン(ベバシズマブ)と抗がん剤のカンプト(イリノテカン)、TS─1の併用療法を始め、腫瘍はだいぶ小さくなり、最も大きい左肺で5ミリと言われました。右肺は見えなくなりました。

「よく効いていたことになりますね」

--ただ呼吸困難や全身の倦怠(けんたい)感が強いので、休薬したいのです。

「大腸がんの薬物療法では原則、治療の継続が推奨されます。相談者の場合、すごく薬が効いているので投薬は続けたほうがいいでしょう。ただ、副作用がつらい場合、生活の質(QOL)の維持を考えていったん休薬したり、効果も副作用も弱い薬で治療を続けたりするのもありかもしれません。薬の量を減らしてもらえるか、あるいは投与間隔を現在より少しあけてもらえるかを主治医に相談してみるといいでしょう」

「例えば4カ月投与した後に1回休薬する期間を設けてもらえないか、聞いてみるという手もあります。ただ、間隔をあけると、治療成績は悪くなる可能性があります。その点は理解しておく必要があるでしょう。休薬期間を設ける場合は、定期的にCTを撮り、病状が悪化したら投薬を再開します」

--今の薬が効かなくなった場合、他の治療薬はありますか。

「手術直後に1カ月で投与をやめたゼロックス療法で、薬の量を減らしたり、治療間隔を調整したりしながら治療するのも選択肢です。また、主治医に遺伝子検査を依頼して、他に使える薬があるかどうかを確認してみてもいいでしょう。RAS検査、BRAF検査やMSI検査、HER2陽性かどうかなど、これらの検査の結果を踏まえると、どんな薬が使えるかが分かると思います」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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